御裾分け





名前を呼ばれて瞑想中の意識を現実へと引き戻せば、右頬に感じたのは妙な感触。
何か細い棒のような、それでいて甘い匂いが鼻を掠める。


「……何かね?」
「ごめんなさい。目測を間違えたというか…」
「私が聞きたいのは、今頬に触れているものの正体のことなのだが」
「ポッキーだよ。私の国のお菓子。本当はこっそり口元まで持っていこうと思ったんだけど…」
「途中で態勢を崩してこうなったというわけなのだな」
「正解デス。中途半端に屈んでいたから……もしかしなくても、最初から気づいていたよね。私がいたの」


当たり前か、とエナガはくすりと笑う。
そして、一呼吸置いたかと思うと、「あっ」と何かに気づいたとばかりに声を上げた。
困ったという雰囲気を醸し出したまま、エナガはアスミタの隣にしゃがみ込んだ。


「苦手だった?」


諸々を省略した唐突な問いかけにアスミタは一瞬何のことかと首を捻るも、すぐさま頬に当てられていた菓子のことを指していると理解した。
あまりにもズレた、そして今更な危惧である。


「苦手というわけではないが、流石に胸焼けするほどのものは苦手だ」
「多分、そこまで甘くはないはず。だから……一口如何ですか?」
「何故そこで改まった言い方をするのだね?」
「なんとなく…あ、食べないなら私がもらうけど」


一応拒否権はあるらしい。
妙なところに納得していたが、ここでこのまま行動を起こさないでいれば、要らないと勝手に解釈されかねない。
折角の友からの御裾分けなのだ。


「アスミタ?」


無言のまま口だけ開いたアスミタに、今度はエナガが困惑する。
けれどもその困惑はすぐに失せ、得心がいったらしいエナガは、嬉しそうに笑みを浮かべて先程の菓子を指し出した。









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あとがきというより言い訳。

金属の光沢を出すのが初めての試みなので、案の定大失敗。
そして、背景放棄したために、状況がよくわからないことに…orz
アスミタは一応結跏趺坐でいて、夢主は中腰でいる状態から始まっています。
(絵ですら説明しないといけないとかもう終わってますね…できれば後で修正版を作って差し替えたいです)
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