卒業式/灰羽リエーフ
いつもよりきちんと着られた制服と胸についた花の飾りが寂しさを掻き立てて、俺は無意識に先輩に抱き付いていた。
「先輩、こんなに小さかったんですね」
「女子の平均よりは大きいんだよ?そりゃリエーフからしたら小さいだろうけど」
夜久さんによく言われた
「マネージャーの仕事する背中も、黒尾さんとか海さんとか夜久さんと並んだ背中も、もっと大きく見えたのに」
「大きい背中って。私をお父さんみたいに言うのやめてよ」
まるで駄々っ子と母ちゃんだなって
「俺の頭撫でてくれる手もボトルまとめて運んじゃう腕も、こんなに小さくて細いなんて知りませんでした」
「リエーフ…?どうしたの?」
それか、大型犬と飼い主だ、って
「……先輩が卒業するの、さみしいです」
「ふふ、先輩冥利に尽きるなあ」
「…………」
「私はね、駄々こねて拗ねて不貞腐れても、ちゃんと反省して謝れる、素直な良い子だって知ってるよ。
文句言いながらも練習ちゃんと頑張ってるのも知ってる。格好良くて強い子でしょリエーフは」
先輩は飼い犬を置いて行くんですか
「何かあったら、てか何もなくても、いつでも連絡してきなさい。リエーフを甘やかすのは私の役目なんだから」
「先輩かっこいい」
「はいはいどーも」
ねえ先輩
この2年の差が縮まることはないけど
いつかちゃんと隣を歩きますから。
その時は、リードじゃなくて
俺の手を握ってくださいね。
「卒業、おめでとうございます」
2015.02.28
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