忘れられないかもしれない、と思った。


朝ごはんを作ってくれた彼は結局
私がシャワーから出ると
仕事があるからってすぐ精算して帰った。

昨夜は可愛かったね。ありがとう。
なんて甘い言葉吐いて最初したみたいにこめかみに吸い付くキスを残して。


でもこんな風に心を揺らされたって
サンジくんは私のことを一娼婦としか思ってないだろうし
私だって今日からまた別の客を取らなきゃいけない。
週末にくるサンジくんは今日は来ないだろう。


「あ、姉さん。」


着替えて部屋に向かおうとする途中姉さんと鉢合わせた。


「お疲れ様、沙羅。昨日のデビューはどうだったの?サンジと過ごしたらしいわね。」


「あ、楽しかったよ!その…優しくて良い人だね、彼。」


「そうね。まあ溺れないように気をつけなさいよ。」



溺れないように…
姉さんのその忠告を聞いて
サンジくんと共に寝た夜に見た夢を思い出してしまった。

青い海にどんどん沈んで行く夢…


ダメダメ!気にしたらいけない。
私は今から仕事で、今日は今日のお客さんがいるんだから。


いつもの廊下を通り抜けて、
指名を待つため部屋に向かおうとしたその時、


「沙羅ちゃん!!!」


「さ、サンジくん!?何でここにっ…!!」


「しーっ!行くよ。捕まって。」


「ちょ、ちょっと待ってよ!嘘でしょっ、きゃあ!」





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