彼はそんな風に言うけれど一体どこへ連れて行かれるんだろう。
この仕事を始めて2日目で同伴なんて、とドキドキしながら彼の後を必死で追う。
「急がせてごめんね。あぁあぁ、そんなかかとの高い靴で…足痛くない?そこ段差あるよ。気をつけて。」
そう言ってさりげなく手を繋いでくれるから
どうしたって胸がキュンと鳴ってしまうじゃないか。
「ついた。ここだよ。」
30分も歩かなかった。着いたのは港。
そこには大きな大きな船が停泊していた。
「ここは?」
「海上レストラン。今は訳あって停泊してる。まぁレストランっつーかもう閉店の時間なんだけど…オレの職場だよ。おいで。」
サンジくんに手を引かれて中を案内される。
いまいち状況が掴めない。
どうしてサンジくんはここへ連れて来てくれたんだろう。
「さあ、お座りください。レディ。」
真っ暗な店内の中、サンジくんはわたしのいるテーブルだけにキャンドルで灯りを灯してくれた。
「ロマンティックだね。他の従業員の人たちは?」
「もう寝てる。料理人は朝が早いんだ。今はオレと君の2人きりだけだよ。」
あらかじめ準備しておいてくれたのだろうか。
サンジくんは奥からどんどん料理を運んで来てくれる。
「沙羅ちゃん。ワイン飲む?」
「ワイン…いいのかな。いただいても。」
「いいよ。取って置きのがあるんだ。オレも飲みたいし、一緒に飲もう。」
テーブルを見るとワインによく合いそうなイタリアンばかり並んでいた。
サンジくん、今晩のこと考えてから迎えに来てくれたのかな。だとしたら、すごく
「嬉しい!ありがとうサンジくん」
ソムリエ顔負けの手つきでグラスにワインを注いでいく。
お礼を伝えるとサンジくんもすごく嬉しそうに笑ってくれた。
「乾杯」
「いただきます。ありがとう。素敵なお料理にお酒まで」
「こちらこそ付き合ってくれて、礼を言わなくちゃ。昨日オレの朝ごはん美味しそうに食べてくれただろ。嬉しくてさ。あの時は食材も有り合わせだったし厨房の設備も整ってなかったから、ちゃんとしたの食べてもらいたくて。」
サンジくんはグラスのワインをゆらゆらさせながらわたしを見つめてそう話してくれた。