その次の月曜日、サンジくんが店に来た。
珍しい。平日なのに。


「サンジくん!平日なのに。お仕事は?」


「あぁ。オレ別に平日が仕事ってわけじゃねぇんだ。みんな仕込み終わったら次の日のために寝ちまうし、夜はいつでも暇なんだ。」



「じゃあ、いつも週末しかこないのは、」


そこまで言おうとして察してしまった。
平日は、姉さんに会ってるんだ…。
平日休みが多い姉さん。
私は世話役も兼任だから休みはない。



「週末の方が、オレ遅出だからゆっくり出来るんだよね。それだけだよ。」


サンジくんははぐらかしてくれたけど。


「…姉さんに会わなくていいの?」


「え?」


私は聞かずにはいられなかった。
赤くなった首をからかっていった姉さん。
わざとらしくヘアゴムをサンジくんに渡す姉さん。
ピアスをサンジくんの部屋に落として行く姉さんのことを…。



「ねぇサンジくん教えてよ…姉さんのこと、どう思ってるの…?」


「不思議な人だと、思うよ。」


今度こそはぐらかされた。こんなにもわかりやすく。
恋愛感情に敏感な彼が私の質問の意図に気づかないはずはないんだ。
たまらなくなった私は彼の口がこれ以上言葉を紡がないように唇を押し付ける。


「沙羅ちゃ、」


「サンジくんっ…!お願い、ちゃんと答えてよ…」


「…沙羅ちゃん。そんな顔しないで。オレ、沙羅ちゃんに悲しい思いさせるのは嫌だよ。」


「だったら、ちゃんと答えて…!私がどんなきもちになってるか、わかってるくせに…!」



酷い人だわ。
愛を知らずに夜の世界に入った私を。
甘やかして優しくして無償の愛と美味しい料理を、命の糧をくれた人。


わかっているの。それなのに私を愛していないこと。
でもそんな風にされたら期待してしまうのが性じゃない。
私は間違ってない。馬鹿な女かもしれないけど。
そこにつけいる貴方も悪い男でしょう?




「好きだよ。」



「…え?」


「君の姉さんのこと。」




そう、わかってた。
わかってて言わせたのよ。
ここで泣くのはお門違いもいいところ。



「でもね。
オレは沙羅ちゃんを守りたい。」


「サンジくん…でも、姉さんは、サンジくんのことが好きだよ…」


「あぁ、そうだよな。でも姉さんのことは、愛人以上にはできないよ。」


「だったら何でっ……!」


「君に会いたかったんだよ、」


「でも姉さんのことが好きなんでしょっ!!!」


わたしのことを強く抱きしめるサンジくんの胸を思い切り突き飛ばす。
サンジくんの力には敵うはずもなく少し揺れただけだった。



「沙羅ちゃん…オレ、君に辛い顔されるのが1番辛いよ…」


私を抱きしめる彼の肩は震えていた。


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