送り出しを終えて部屋へと廊下を歩く。
何故だか嫌な予感がしてたんだ。

ヘアゴムやピアスのことが頭をよぎる。
この廊下をこのまま歩くと姉さんに会う気がする。

だから敢えて遠回りをして入口側の扉から抜けて外を回って部屋へ帰ろうとしたんだ。
そしたらそこには何故か送り出したはずのサンジくんと同伴帰りで外から戻って来た姉さんの姿があった。
2人が一緒にいるところを見るのは初めてかもしれない。
綺麗でスタイルの良い姉さん。
背が高くてスラっと細いサンジくん。絵になる2人。
心の中が一気に曇る。降り出しそうだ。感情の雨が。

よく見ると2人は何か言い争ってるみたいだ。
玄関越しだからよく見えないけれど
姉さんは鋭い目つきでサンジくんを睨んでいる。
サンジくんは宥めるように表情を変えず言いながらタバコに火をつけていた。

見たくない。こんな場面。早く立ち去るべきだと思ったんだけど。



「沙羅。あなた見てるなら来なさいよ。」


「っ!」


「おいやめろって。沙羅ちゃんは関係ないだろ。」


「あなたは黙ってて!沙羅。あなたまたサンジに会ってたわね。気をつけろって言ったわよね?」


「違うんだって。オレが店まで会いに行ったんだよ」


「わかってる!でもあなたを責められないんだから。私の気が済まないでしょう!」



怖い。こんな大きな声を出す姉さん初めてだ。
従うしかない。玄関を通って建物の中へ来た2人の前で動けなくなる。
サンジくんは呆れたような申し訳ないような
なんとも言えない渋い顔で煙を吐く。


「姉さん、ごめんなさ…」


「わかってるわよね!?彼は私の男よ。」


サンジくんは何も言わなかった。


「ごめんなさい…でも姉さん私、」


「姉さんの男を寝取るとどうなるか知ってる?私なんかまだ優しい方よ。」


「姉さん、わたしサンジくんのことがっ」


「言わせるもんですか!!!」


姉さんの手がバッと私の顔めがけて振りかざされる。咄嗟に目を閉じた。


「やめろよ!!!!」


目を開くと、私の目の前にはサンジくん
姉さんの腕をしっかりと捕まえて庇ってくれた。



「沙羅ちゃんは関係ねぇ。わかるよな?2人で話そう。」


「…サンジ、」


「頼むよ。なぁ。2人きりで。」


姉さんの腰を抱いて耳元で囁く。
やめて見たくない。
少し優越感に浸った姉さんは私の表情を見て笑った。



「仕方ないわね…沙羅。わかるわよね?次はないわよ。行きましょサンジ。さっきまであなたが使ってた部屋でいいわ。沙羅からママに伝えておいてね。サンジと2人で部屋に入ってるって。」



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