隠し撮り選手権



「第3回!!伏見さん隠し撮り選手権です!!パフパフ〜!」

パチパチと盛大、ではなく控えめな拍手が暗い食堂に鳴る。時刻は深夜0時を少し過ぎた頃。大きなテーブルに手を付き、名前はずらりと並んだ特務の面々をみて笑みを深めた。
伏見さん隠し撮り選手権と名付けられた週に一度、名前主催で深夜に行われるこの大会。最初は伏見の食生活の観察が主だったのだが、いつの間にかどれだけ萌える写真を撮れるかを競い合う大会になっていた。
そして今夜、第3回目の大会が開かれる。

「フッ、今回の優勝、俺がいただきます!」
「日高には負ける気がしないな〜今回は俺の優勝でしょ!」

日高と道明寺が某カードゲームのように伏見が写っているであろう写真を手に持ち、ニヤリと笑い合う。
第1回は名前の撮ったうたた寝する伏見が優勝だった。第2回は五島の撮った猫にじゃれつかれる伏見が満場一致で優勝だ。
第3回、今夜は一体だれが優勝するのか…。名前が期待を胸に大会を始めようとすると、ギィと食堂の扉が開いた。

「おや、皆さんお集まりでしたか」
「し、室長!!?」
「ふっふっふ、待ってましたよ室長。いい物、仕入れてくれたんでしょうね」
「フフフッ、無論です」

余裕の笑みを浮かべて浴衣姿の宗像は名前のいる反対側に座る。驚いた表情を浮かべながらも、室長と言えど、負けませんと道明寺が言い放った。そして、名前がパン、と手を叩き、端に座る秋山を指す。

「では、とっぷばったーは前回同様、秋山さんから!」
「…っはい。俺は、これです」
「では、映します」

秋山のタンマツから送られたデータを、名前がパソコンでプロジェクターへと転送する。パッ、と食堂を明るく照らしたプロジェクター。壁には、湯気の立ったカップを両手で持ち、息を掛けて冷まそうとしている伏見。
何処かでおぉ、という声が上がった。

「なん…と……伏見さんは猫舌…!?フーフーしてる!伏見さんがフーフーしてる!!」
「お、落ち着いてください。まだ1枚目ですよ」
「エノちゃん、私はもう、駄目だ……進行は…任せ、た…うっ」
「はやいですよ!!」

グッドラック。そういい残して名前は机に伏せた。
写真が映されるたび名前が机に頭を打ち付け、時々ゴンッと言う音が鳴り響ながら、隠し撮り大会は順調に進められていった。



「えーっと、じゃあ、最後ですね。では室長、お願いします」

結局、進行を変わった榎本が、少し緊張した面持ちで相変わらず笑みを浮かべる宗像へと視線をよこす。宗像が素早くタンマツを操作すると、パソコンにデータが送られてくる。既に瀕死状態の名前に声を掛け、榎本はプロジェクターに写真を映した。

「ンンンンンっっっ!!!?」
「えっ、これ…」
「よ、よくこんなの撮れましたね…」

奇声を発したのは勿論、名前だ。次に布施が驚いたような声を上げ、加茂が宗像へと声を掛ける。ついに名前は陸に打ち上げられた魚のように、ぴくぴくと動きながら机に伏せてしまった。

「フッ私のかかればこのような写真、いくらでも撮れますよ」
「室長ぉぉおお!!私は貴方のクランズマンで良かったです!!このまま死ねる!!アリガトウゴザイマス!!!」
「出来れば、顔を上げて言ってほしかったですね」

ゴンゴンと机に頭を打ち付ける名前を弁財が止めようとするが、失敗に終わる。一頻り暴れたところで、名前は改めて壁に映った伏見を見る。
二段ベッドの上の段、クッションを抱えて丸まる伏見。お気に入りのクッションを離さない猫のようだ。

「あれ…伏見さんが抱いてるこれって…」
「?」
「おや、日高くん良いところに気づきましたね」

写真に写る伏見の抱いているクッションをよく見ると、誰かの写真がプリントされたクッションカバーを被っている。
青いクッションカバー。

「クッションカバーを買ってからよく眠れているそうですよ」
「……名前さんも伏見さんのクッションカバー大量買いしてたよなぁ…」
「あ、……あー…」

なんであの二人って付き合ってないんだ?と、特務の心の声がそろった。
そんなことを考えられているとはつゆ知らず、名前は素早い動きでパソコンに送られたデータを自分のタンマツへと送信していた。額から血を垂らしながら。


第3回隠し撮り大会、優勝は宗像礼司!


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