お姉ちゃんと膝枕とカラ松
六つ子の部屋の前を通りかかると、ソファに腰掛けたカラ松が自分に思い切り浸りながら空を見上げていた
その見慣れた光景には何の感情も湧いてこないけれど、ソファに腰掛けて足を組んでいる姿にふと思い立つ
「……カラ松」
「ん?何だ姉さんこの俺をご指名か?」
ソファへ歩み寄りながら声をかければ、胸にかけていたサングラスをわざわざ装着しながらこちらへ指鉄砲を向けてくる
バーンだとかなんとか
例のごとくカラ松を無視しながら、要求を満たすべくソファに腰を下ろしてそのまま横へ寝転んだ
「ふぁ!?」
「うぅ〜ん……思ったよりかたい」
「えぇ?何してるんだ姉さん?」
頭の下の考えていたよりもかたい感触に寝心地は良いとは言えないものの、動揺しているカラ松を見上げるのは面白い
ソファに座っているカラ松の膝に頭を置いて所謂膝枕状態のまま困惑しているカラ松を下からながめる
「膝枕してもらってる」
「……フッ、このカラ松に甘えたかったのか?シスター」
いいぜえ?甘やかしてやるさ!とか何だか上機嫌になり膝においた私の頭をぐりぐりとなで始めた
犬にするようなその手つきに不満はあるものの、盗み見た弟の顔があんまり嬉しそうで止め時を見失って頭をぐちゃぐちゃにされていく
「ふふん、子守唄が欲しいか?それともこのまま俺の膝の上でシエスタするかーい?」
「結局同じだね?それ?」
いつまでも人の頭を撫で回しながら、カラ松の手が私の前髪をかきあげる
私の目に映る弟の表情は相変わらず、嬉しそうで構ってもらえて嬉しいとありありと書かれているものだから
もうどちらが甘やかされてるのかわからない
「カラ松」
寝転んだまま両手でカラ松の頭をくしゃくしゃに撫で回す
驚いて困ったような顔をするものの、かすかに耳を赤く染める様子が何かいじらしい
顔につけていたサングラスが撫で回した拍子にズレてその下の表情がより見やすくなった
「姉さん、セットが乱れてしまう」
「うーん?やめて欲しいの?」
くしゃくしゃと両手でまだ頭を撫でながら意地悪く笑って見せれば、下の弟たちには見せない顔でカラ松が唇を尖らせる
「……そうは言っていない」
拗ねたような顔が可愛くて、膝枕から体を起こしトレードマークのサングラスを取り上げる
サングラスを失くして、私がくしゃくしゃにした髪型だとさすが六つ子。一松にそっくりに見えた
それでも、いつもは釣り上がっている眉がハの字に下がっているその顔はカラ松の表情で、どんなに似ていてもやっぱりカラ松はカラ松だ
その弟から取り上げたサングラスを、自分の顔につけ、さっきカラ松がしていたように指鉄砲でカラ松を打ち抜く
「お姉ちゃんに甘えたいのかい?ブラザー」
カラ松のマネをしてそう言ってみれば、不意打ちだったのか、自分の発言に甘えがあったことに今さら羞恥心がわいてきたのか
急に顔を真っ赤にしてソファから立ち上がる
「そ、そそ、そんな事は言っていない!」
「ええー?そうだったあ?」
「そうだ!ここ、この俺が姉さんに甘えたいなんて!ばば、馬鹿なこと!」
真っ赤な顔で動揺を丸出しにしながら、言い訳しつつ部屋から去ろうとするカラ松の背中を見送る
このまま捕まえてからかい続けてもいいけれど、そうしたらカラ松は泣きがはいる気がする
「ブラザーたちには言うんじゃないぞ!絶対に!」
「はいはい、言わないから」
「絶対だからな!」
動揺を引きずったまま部屋を出ていくカラ松
ああ、そんなに意識を散らしてたら
「ア!?アーー!!」
大きな音をたてて、誰かが階段から転がり落ちる音がした
まあ、誰かなんてわかりきっている
うちの弟ったら可愛くて可愛くて仕方ない
多分階段の下で気絶しているだろうから、他の兄弟が帰ってくるまでお姉ちゃんが膝枕でもして介抱してあげようか
おそらく帰ってきた兄弟に現場を見られて死ぬほどからかわれると思うけれど、カラ松がからかいがいがあって可愛いから仕方ないってお姉ちゃんは思うな
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