ネタ
・幼女と億泰

「とんでもないことが分かってしまいました……。なんとですね、このアイス、おいしいんです!」
「お前よくわかってんじゃね〜か。このチョコチップストロベリーも美味いぞ」一口差し出し
ぱくり「おいしい!おいしいです億泰さん!」
私のもおすそ分けです、ってあーんってしあってたらほほえましいね

「今日は頂き物のフレーバーティーを持ってきました」
「何だかコレよぉ、甘い匂いがすんのに甘くねえなんて変だぜ」




・デパートにて

「こんなもので私が懐柔されると思っていらっしゃるとすれば、大間違いですからね」

両腕いっぱいにお菓子を抱え、私は先生に告げます。

「その菓子類を手放してから言うといい」
「言われずとも、離しますとも」

そう、買い物カゴの上でね!
私の手を離れたお菓子たちは、そのまま先生の持つ買い物カゴにおさまります。先生は肩をすくめました。
こうして呆れながらも、ちゃんと買ってくれるから先生は素敵です。ちょっとだけ見直しました。……なんだか更に先生が呆れてらっしゃる気がしますが、きっと気のせいですね。





・たんぽぽ

「お、こんなところで何やってんだァ?」
「あっ、億泰さん! えへへ、実はですね、たんぽぽを集めているんです!」

上機嫌で告げる幼女に、花束でも作るのかと億泰が尋ねると、彼女は首を横に振り、得意満面に語り始める。

「このあと、茎を割いてお水につけるんです。そうしたら、くるくるーってなるんですよ! くるくるーって!」
「ホォ〜」


・実演する幼女

「見ていてくださいね……ほら!」

水の入ったバケツに割いたたんぽぽの茎を浸け、軽く揺らすと、くるくると茎が外側へと丸まっていく。
いいリアクションをする億泰に、幼女もご満悦間違いなし。

茎がくるくるになったたんぽぽは、億泰へと贈られる。持ち帰ったそれを、形兆に見せて報告する億泰。
形兆は呆れながらも、それを飾っては度々視線を向けて目尻を緩ませている弟に、仕方がないやつだと小さな溜息。





・幼女と飴玉

驚きにぽかんと口を開けた幼女の口に、飴玉を放り込む先生。反射的に口を閉じ、飴をなめはじめる幼女。
マスカット味でした。





・桜

桜並木は春風に揺れ、ひらり、ひらりと花びらを舞わせていました。そんな桜の雨降る歩道に躍り出た私は、自分がまるで桜の精にでもなったような心地でターンステップを繰り返します。
足下の石畳がアスファルトに変わったところで、一際強い風が吹きます。夢見心地だった私は、はっと意識を取り戻しました。ごっこ遊びに、少し身が入りすぎたようです。
花びらたちは、風に攫われて飛んでいきました。





・こどもの日、柏餅

「むむむ……お餅の種類によもぎとプレーンがあるんですか」

さて、どうしましょうか。二つとも食べると、お昼ご飯がお腹に入らなくなってしまいます。

「ここは気を利かせて、半分ずつを提供してくださるのがいい大人だと思うのですが、そこのところ先生はどう思われますか」

今日はこどもの日、つまり子どもである幼女が主役な日です。大人な先生はもう少し甘やかして下さってもいいのではないでしょうか。
期待を寄せる幼女の視線に、先生は眉根を寄せながらも、それぞれの柏餅を半分こにして下さったのでした。やったー!


・食べる幼女

「これは…よもぎの生地なんですね。いい香りがします」

この香りが柏の葉のものなのかよもぎのものなのか分かりませんが。残念ながら幼女には、葉っぱの匂いとしか認識できませんでした。
中は漉し餡のようですね。少し濃いめに淹れた緑茶と共にいただきましょう。
齧り付くと、お団子ともお正月のお餅とも違う歯応えがありました。もちもちでやわらかです。よもぎの味と、少しの塩味がしました。甘い餡にも、小豆の風味がちゃんと残っていて嬉しい気持ちになります。

「だらしのない顔だな」

……。水を差してくる先生のことは流して、プレーンの柏餅をいただきましょう。

「あむ」

口に広がるその独特な味に、衝撃が走ります。味噌餡……! これが地域差ですか。
慣れない味に、はじめこそ戸惑っていましたが、ふたくちみくちと口にしている間にその味がクセになってきます。なるほど、味噌餡。いけますね!
美味しいことはいいことです。





・もしも幼女と先生がほのぼのしなかったら

少しずつ記憶が抜け落ちていって、けれどもそれに違和感も抱けず、そのうち自分が何者かもわからなくなって、最後にはその存在ごと消えてしまう幼女と、そんな結末を予感しながらも、幼女の記憶のページを破らずにはいられなかった先生。





・幼女、転ぶ

なんたる不覚。幼女は道端で転んでしまいました。
塀の上を歩いていた灰色の猫ばかりを見ていたためか、あしもとがおざなりになっていたようです。白い靴下は汚れてしまいましたし、猫も見失ってしまいました。なんともついていません。

幸い血が出るほど擦り剥けてはいませんが、歩き続けるのは難しそうでした。
私はその場にしゃがみ込んで、ヒリヒリする膝に息を詰めます。痛みのせいか、目尻に涙がたまってきました。むぐぐ。泣きませんよ。

「あー、なんつーか、大丈夫か?」

急に頭上から声がして、びっくりした私は声のした方向に顔を向けます。視界に飛び込んできたのは、ハートの装飾とリーゼントでした。

「……痛いです」
「だよなァ」

腰を落とし、幼女と視線の高さを同じにした彼は、気恥ずかしげにひとつ咳払いをしてから、幼女の擦りむいた膝に手のひらを近付けます。

「痛いの痛いのとんでいけー、ってな」

途端に、膝の痛みがなくなります。心なしか赤くなっていた膝も、今は元の色となっていました。どうやら、痣にならずに済みそうです。

「痛くありません……!」

凄いです! まるで魔法の手のようです。
そのことを興奮気味に伝えると、彼は小さく笑って、幼女の頭を撫でたのでした。





・言葉が足りない

話をする時に、常に相手を見上げるかたちになって首がおつかれの幼女に気付き、幼女を肩車するに至る承太郎と、突然の肩車に固まる幼女。
幼女と身長の近い康一くんだけが承太郎の考えを察する。さすがだぜ康一くん。





・海辺にて

夏です! 海です! 海水浴です!
だというのに、透き通る海を前にして、先生は砂浜のレジャーシートの上で一人、スケッチばかりしています。折角海に来たというのに、勿体ないことです。その水着は何のために着ているんですか。
先生も遊びましょうよ、と。そんなお誘いの意味も込めて海水をぱしゃぱしゃしたところ、思いのほか量と勢いのあったその水は、先生のいる場所まで届き――スケッチブックを庇った先生は、海水でびしょ濡れになってしまいました。髪までしっとりです。

「先生の髪の毛の元気がなくなってしまいました!」
「おいその誤解を招く言い方はやめないか」


・カキ氷

ショリショリ、きゅるきゅる。かき氷機のハンドルを回しながら、私はふんふんふ〜ん、とご機嫌な鼻歌を歌います。
透明なガラスの器は二つ。それぞれに雪山を作った私は、シロップの瓶を持つ先生に手を伸ばしました。こっちに頂戴、のポーズです。蝉の大合唱の中で、窓際に揺れる風鈴が涼やかな音を響かせていました。





・焼き芋

「先生、焼き芋です! 『いーしやぁーきいもー』って、今確かに聞こえました!」
「ええい煩い! そう声を上げずとも分かっているさ、買えと言うんだろう」

さすがは先生です! 以心伝心、しっかり幼女のハートが伝わっているようで、なによりというやつですね。嬉しい気持ちで、私は駆け出します。

「あっちの通りからですね。おいもですよー!」

そうしてゲットしたのは、ほくほくの石焼き芋! 優しい甘さが口の中に広がります。先生にも、幸せのおすそ分けをしておきましょうか。一口どうぞとおいもを差し出すと、先生は少し眉根を寄せてから、かぷりとおいもに齧り付きました。
待ってください、大口すぎませんか! 幼女の取り分が減ってしまいました……。ちょっとしょんぼりしていると、先生がおいもの感想を口にします。

「美味いな」
「でしょう、そうでしょう!」

まるで自分が手柄を上げた心地で、私はほにゃほにゃ頬を緩ませました。すると先生は、さらにもう一口と齧り付いてきたではないですか!
油断も隙もあったものではありません。ここから先は戦場です。私は残りを取られまいと、夢中でおいもに齧り付きます。これは私のおいもです、私のなんですよ!

そうしておいもをお腹の中に確保したはいいものの、急いで食べたせいか、幼女はしばらくしゃっくりが止まらなくなってしまったのでした。むぐう。




・第五部 嘘予告

これはスタンドの矢を巡る物語――ではなく、幼女のぬいぐるみを巡る物語である。


・幼女、イタリア観光する

康一くんと一緒にイタリアに来ている幼女。荷は奪われるも、ぬいぐるみだけは無事。一方ジョルノは、ぬいぐるみに対して何故か既視感を抱いていたり。

康一くんと、迷子にならないように気をつけないとね、という話をしていた矢先に、人混みにのまれてはぐれる。幼女、迷子になる。

護衛チームの数名が、迷子の幼女を保護し、彼女の宿泊先のホテルまで送り届けたところまでが導入。観光とはなんだったのか。
多分ブチャラティさんが泣きべそ幼女にイタリアンジェラートを買ってくれた。幼女は食べはじめてすぐに泣き止んだ。食べるのに真剣だったので。

「気付いたか。彼女の抱いていたあのぬいぐるみ、マキシーの1988年冬期限定デザインだ」
「マキシー、ってったら、あの金持ちのボンボン御用達のブランドメーカーか?」

ミスタの「ぬいぐるみも作っているんだな」という反応に、あの期間限定モデルのぬいぐるみは、ただ金を積むだけでなく社会的地位のある奴にしか売られないという話をするフーゴ。
そうした者しか手に入れられないぬいぐるみを持っていた割には、いたって普通の身なりだったこともあり、幼女に少しの警戒心を抱くその場の護チ数名。
また、あれでは金持ちの子だと自分から告げているようなもので、誘拐されて身代金案件が発生するのではと幼女の危うさを心配しもする。やさしい。

幼女、康一くんともうはぐれないように気をつけようと思っていた矢先にチンピラに攫われる。エコーズがんばって。
なんやかんやあって、どこかに閉じ込められた幼女が、自力脱出しようとしていたところで暗チと接触する。メローネに一時ぬいぐるみを奪われるも、きっとプロシュートの兄貴かリゾットさんあたりが回収して返してくれる。
幼女を始末するかどうするか暗チが迷ってる間に、迎えに来てくれた康一くん。幼女は康一くんと一緒に・誰にも気付かれぬうちにホテルに帰る。

それから、護チのトリッシュ護衛任務中に再会したり、ぬいぐるみへの既視感は幼い日の記憶に起因しているとジョルノが気付いたり。妙な縁が出来上がりつつも、深入りできるほどの仲にはならない幼女。

船に乗れなかったフーゴと一緒にピザを食べよう。




・そんな展開はない

「おい、ついてるぞ」
幼女の肩に《極悪中隊》の歩兵がバァーーン


・そんな展開はない2

「案内してくださった店員さんが、ご好意でかハンドクリームまでくださったんです」
「変態なんじゃあないか」
「人の親切をそんな風に言うのはよくありませんよ」
「どうだか。女児の手に異常な性癖を抱く殺人鬼かもしれないぞ」




・億泰とのファーストコンタクト

「いちごみるくが飲みたかったんですか?」
「ああ、でも間違えて隣のボタン押しちまってよ」
「では、私はいちごみるくを購入しますので、そのヨーグルッぺと交換してもらえますか。それが最後のヨーグルッぺだったみたいなんです」
とか、なんとかかんとか。




・先生、少女に扶養される
(六壁坂あたりの話)

「まさか、子ども貯金を切り崩させる養い親がいるとは思いませんでした」

 やれやれです。いくら取材のためとはいえ、家財諸々を資金に変え山を六つ買い取った挙句、地価暴落に自己破産してしまうとは。やることなすことかっ飛ばしています。私の預金通帳を手にした先生は、どこか渋い顔をしました。

「残高が子ども貯金の額じゃあないんだが」
「しゃぼん玉が屋根まで飛ぶ前が勝負どきでした」

 えっへん、と胸を張ります。少女は賢い少女ですので、お年玉を元手に、眼鏡の弁護士さんのお力を借りつつ増やしておいたのですよ。生まれ変わって初めて、21世紀を生きていた頃の知識が役に立った気がします。先行投資、万歳です。この貯蓄があったおかげで、私は黄色いクマのぬいぐるみを手放さずに済みました。
 それでも、先生の今回の損失に充てるには雀の涙だというんですから、先生の支払った金額の大きさもわかるというものです。
 本当なら、先生の破産を避けたいところでしたが、先生の取材意欲は、私に止められるようなものではありませんでした。ブレませんねえ。




・幼女、四部太郎に会う

 私がいつもお世話になっている弁護士さんから、「会ってほしい人がいる」と言われ、紹介されたのは第三部の主人公・空条承太郎でした。原作の記憶の大半を忘れてしまった私も、さすがに彼のことは覚えています。
 ぽかん、と口を開けていると、彼は私に、両親から何か預かってはいないかと訊きました。
 はて、さて。あの人たちが私に何を残したでしょう。厄介のタネしかもらっていない気がしますが。……ああ、一つありましたか。

「預かり物というよりは、贈り物ですが。黄色いクマのぬいぐるみを貰いましたよ」

 他には、なにも残っていません。

「今、手元にはあるか」
「さすがにぬいぐるみを持ち歩いては、……あっ、いえ、ありました」

 今朝方、寝惚けてリュックに詰め込んだのでした。背負っていたリュックを肩から降ろし、中からそのぬいぐるみを取り出してやります。

「いつもは持ち歩いてませんよ、本当です」

 ですから弁護士さんは、その微笑ましいものを見るような目をやめてください。うんうん分かってる、って分かってませんよね絶対。
 妙な恥ずかしさを覚えながら、私はぬいぐるみをテーブルへと乗せます。承太郎さんはその碧の瞳で、ぬいぐるみをじっと見つめました。

「その人形、調べさせてはもらえないか」
「ぬいぐるみ、いえ、はい。返していただけるなら、どうぞ」

 抱き枕がわりに使っているせいで、幼女のよだれがついていないといいのですが。承太郎さんの手に渡すと、彼は少しだけ目尻を下げました。

「責任を持って君のもとへ返そう」

 なんと頼もしい言葉でしょう。これは安心してぬいぐるみを預けられるというものです。
 ……ところで、ぬいぐるみなんて調べて、何になるのでしょう?





・ボツ会話、両親

「昔はお母さんも、寝る前によく本を読んでくれたのですけれど。
お父さんは、一緒に寝転んで、私の隣で昔話をしてくれましたね」
「昔話?」
「私が産まれた時の話です。聞きますか」
「そうだな、聞かせてもらおうか」

椅子の向きを変えて、聞く姿勢をとる先生に、律儀なことだと思いながら、私は話し始めました。

「昔々、あるところに、お父さんとお母さんがいました」
「僕の思っていた『昔話』と随分違うスタンスなんだが」
「ある時、お母さんのお腹が大きくなって、大きくなって、大きくなって……ポーン、と女の子が産まれてきました」
「リアリティがない、やり直しを要求する」

だが断る! 聞くとおっしゃったのは、先生ですよ。私は気にせず、話を続けることにしました。

「かわいらしい女の子に、お父さんもお母さんも大喜び。女の子は赤ちゃんマンと名付けられました」
「赤ちゃんマン」
「ええ、赤ちゃんマンです。私の幼名です」

先生は眉間を押さえました。なんとも険しい顔をしています。

「君の両親の頭は正常か?」
「それを私に訊きますか」
「愚問だった」

ええ、ええ。ここに私がいることが、ある意味答えでしょう。

「続けますよ? 赤ちゃんマンは大きくなって、大きくなって、大きくなって……ポーン、と私になりました。めでたし、めでたし」
「クソだな」

酷評をいただきました。私の今生の父親が、産まれてくる私に聞かせてあげようと、私がお腹にいる頃から考えていたお話らしいのですが、容赦なくバッサリです。素人作品ですから仕方ありませんね。
しかし、私は決して、この話が嫌いではなかったのです。お父さんは語り上手でしたし、聞く日によっては話にアレンジが加えられるので、面白くて何度もこの話をねだりました。

「大きくなって、私になるところで、『本当に大きくなったなあ』って、お父さんが頭を撫でてくれるのが好きでした。まあ、もう何年も撫でられていませんでしたし、寝るときには電気の消えた暗い部屋で、意識が消えるのを待つのが常になってましたが」

ともかくも、そんな私にとって、寝る前の時間というのは、生物学上の父が、唯一お父さんらしいことをしてくれる時間だったのです。
私がしみじみとしていると、先生はそれが意外だったようで、顎に手をやり、何か考え始めました。



・ボツ文、ようかいごようじょ
「ろはん先生、歩き疲れてしまいました。おんぶしてください」
「眠くなってきました。絵本読んでください」
「ごはんがお洒落すぎます。なんなんですかこれ」
「家庭料理っぽさがほしいです」
「君は注文が多いな!?」

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