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これは現実なのだろうか。
「ーー穢れた血の助けなんか!!」
言ってしまった。恐らく彼と私の頭の中でそう思っただろう。
息が出来ない。自分の中では呼吸をしようと酸素を求めたのに、肺が動かず代わりに心臓がとても煩く動いていた。その音は鼓膜に直接響くような音たちだった。
私の口が何か言葉を出そうと息すら吸えていないカラカラのそれで金魚のようにパクパクさせたいると、彼女が「スニベルス」と冷たく言い放ち立ち去ってしまった。
そんな一瞬の事のように感じる出来事をただ傍観することしか出来なかった私は、弾かれるようにして彼の元へ駆け寄った。何故彼の元へ行こうと思ったのか分からない。ただそうしたかった。
「! ……セ、セブルス?」
「っ!! 煩いっ! 僕に構うなっ!」
「ッ! ご、ごめ……」
私が彼の肩に置いた手を、その彼に弾かれパシリと乾いた音を響かせ、私のその手はただただ虚しく中途半端に空を掴んだ。
そんな私に目も合わすことなく、彼はそのまま去って行った。
ぐしゃりと心臓が握り潰されたような激痛が私を支配した。どんなに呼吸をしようがこの苦しみと激痛は和らがなかった。そんな時に「#name1#に謝れ」などと意味の分からない言葉が聞こえ、声がするほうを向くとジェームズやシリウスが小さな背中しか見えなくなった彼に叫んでいた。
「ッ! ふざけないでよ!!」
心臓や頭、全てが痛くて自分が涙していることも気付かなかったが、ただ目の前の現実が受け入れられなくて、傷付けると分かっていても叫ぶしかなかった。
「ふざけないでよ!」
自分でも想像していなかったくらいの大きな声が出た。
「彼に謝れですって?!貴方達が謝りなさい!だいたい何なの?!4対1って、それでもグリフィンドール?!」
息継ぎをすることなく叫ぶ私は自分では制御出来ない程だった。だか傷付けるとわかっていても口が動き、声で言葉彼を傷つけてしまった。
「リーマス!リーマス貴方も同じよ!……友達なら……っ友達ならちゃんと止めてよ!」
その時のリーマスの顔は多分一生忘れないだろうと思う。傷付き泣いているのも苦しいのも私なのに、彼もまた泣きだしそうでとても苦しそうだった。
「もう金輪際私に話しかけないで!あなた達なんて大嫌いよ!」
そう言い放っと私は顔を下に向け彼らと目を合わさぬように足早に立ち去った。
目的地なんてなかったはずなのに自然と足がスリザリンの寮へと進んでいた。
寮へと続く階段を下って行くと、先程私の手を振り払った彼と出会った。彼は私の方に視線をやったが、その目からは何の感情もなく、ただこちらを見ただけで、そのままどこかへ行ってしまった。多分彼女――リリーの所なんだろう。そんな彼を見送った私に何故かまた苦しみが襲った。どうして苦しい?
「分からない……分からないよ、なにもかも」
そのまま私は自室へと走った。分からない分からない、全てが分からない。
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