賢者の石編 29話
「貴方の…お、お母様です。…貴方に、さささ差し上げねばと…思いまして。」
「ありがとうございます、先生。」
母の写真の殆どは伯父に処分され持っていなかったので凄く嬉しかった。
ローブのポケットにそれをしまうと、クィレルが紅茶を差し出してくれたので「頂きます」と一言もらし口をつけた。
レンは油断しすぎたと思った。
いくら母の写真を貰ったからといい、先程ハリーがクィレルの授業の時はいつもより多く傷を触っていると考えていたではないかと…。
紅茶を飲んでしまった時には既に遅く、レンはそのまま意識を手放した。
次にレンが目を覚ました時は冷たい床の上にロープの様な物で縛られたまま寝かされていた。
「やっぱり、貴方だったんだ…」
「目を覚ましましたか」
レンの瞳映る彼の姿は今までの彼が偽者だったのではないかと思う程、その弱気さは消えてしまっているようだった。
「一角獣の血を飲んでいたのも貴方…そして…きっと貴方の側にヴォルデモートがいる。」
「貴方がクレスメントの力に目覚めている事をお知りになったあの方は喜んでおいででしたよ」
「私はヴォルデモートの手先になんかならない!!」
レンがはっきりとそう言うと、縛られているロープがきつく締まり体に食い込む。
それに表情を歪めたレンを見るとクィレルは自分の目の前にある大きな鏡を見つめた。
「私が一人の時に限って、気配を感じたのはこうする機会を窺っていたの?」
「あぁ、その通りだ。」
鏡から視線を逸らさずにクィレルはそう答えた。
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