賢者の石編 30話
さっっと体を起こし、ハリーの側に駆け寄ると片手でハリーの手を握り引っ張る。
「ハリー、今よ…今のうちに逃げるの!」
耳元でそういってもハリーはその場に釘付けにされてしまった様に動かなかった。
『お前は…少々お転婆がすぎるようだ…静かに待っていろ。』
その冷たい声にレンの体は震え、動けなくなってしまう。
あの時の夢が鮮明に脳裏に浮かぶ。
『ハリー・ポッター…この有様を見ろ…』
ターバンを取り終わるとクィレルの後頭部にもう一つの顔があった。
蝋のように白い肌、瞳は血走り瞳孔は蛇のような目になっている。怖ろしい顔だった。
ハリーはレンと繋がれた手をぎゅっと握ると一歩後ろに下がる。
『こうして誰かの体に寄生する事でしか生きる事が出来ない…この数週間はユニコーンの血がワシを強くしてくれた…命の水さえあれば自分の体を取り戻す事が出来るのだ…そのポケットの中にある石でな』
レンもハリーも後退りするが、もう一つの顔がそれを止める。
『命を粗末にするな。ワシの側につけ…さもないとお前の両親と同じ目にあうぞ。二人とも命乞いをしながら死んでいった…』
「「嘘だ!!」」
ハリーとレンは大きな声でそれを打ち消す様に叫んだ。
5/5
←前へ 次へ→
目次へ