「幸せな1年だった…レンの誕生日、パーティをした。リリーやジェームズ、ハリーも勿論、少しだけではあったが来てくれていた。…色々あってね、ずっとは居られなかったが…それでも盛大に祝ってくれていたんだ。…レンもウトウトとし始めていたし、お開きにしようとした時、アクアは1度確かめておきたいと荒れ狂った蛇をレンの前に出した。…レンはそれに驚き瞳に涙を浮かべたが、私達の方へと視線を向けたその時、誰を見て何を思ったのかは判らないが、助けて貰えないと察した様だった。直ぐに蛇に向き直ると、大粒の涙を浮かべたその瞳を赤くし、蛇語の様なものを口遊み蛇を鎮めてしまった…」
「それで母が壊れてしまったのね…。」
「アクアのほぼ回復していた心が折れた瞬間だった。そして…私もその光景に少なからず動揺し戸惑ってしまった。あんなに覚悟を決め、愛した我が子だったのに、だ。…あんなに大人の気持ちに敏感な我が子の前で、そんな姿を見せてしまった。アズカバンに居た時、壊れた母と動揺を隠せない愚かな父親をその赤い瞳で見つめ詫びている様な悲しそうなレンの顔ばかり思い出していた…。」
「シリウス…。」
そんな彼にあの妖しく光る赤い瞳はどう映ったのだろう…。
困惑と恐怖の対象にしか思えなかったのではないだろうか…と、レンは思わず思ってしまう。
「だが、リーマスは違った。そんな私の目を覚まさせる為に、この子を愛を知らない子にはしたくないと私を説得したが、私の目は覚めなかった。…それならば、この子は蛇に噛まれて死んだとアクアには伝えようと…そう言ってレンに杖を向けた。」
「その時のレンは私の杖を見てそしてシリウス、そして私を見つめ微笑んだんだ。…まるで殺される事を受け入れている様に…良いよって言っている様に…まだ1歳の赤ん坊が、だ。…普通ではあり得ないその姿に、演技をしていた事も忘れ固まってしまった。…その時セブルスが来て、レンを連れて行ってしまった。」
「私は、直ぐにお前を取り返しに行こうと思った。だが、困惑した自分をレンに見せたくなかった。それに本当に自分はあの子の父親としてやっていけるのかと…自問自答を繰り返していた。」