自分の愛しい人がヴォルデモートに壊され、やっと回復し始めた時、殺したいほど憎んでいる者の瞳が自分を見つめていれば、それは困惑するだろう。
寧ろ、今のシリウスやリーマスの様に、敵対しているのにも関わらず父親になろうとしてくれる方が珍しい。
「なかなかレンを引き取りに行けない私に、事情を知ったジェームズが怒鳴り散らしたんだ。何があろうと自分の子として育てるんじゃなかったのか!?とな。」
「…この前見た悪夢で、初めて見たシーンがあったの。そこでジェームズさんが同じ事を言っていたわ。私の姿を見ては、シリウスと母さんの身を心配してくれていたし、その子は何があろうとお前の子ではない!ってヴォルデモートに言ってくれていたの。」
その言葉に、シリウスはまさか自分の事を心配してくれていたとは思ってもいなかったのだろう、驚いた様に瞳を丸くすれば、その瞳を潤ませてはレンの頭を撫で、どこか切なげに微笑んだ。
「ジェームズは本当にそう思ってくれていたんだろうな。私やアクアがそんな状態だから、レンは親に甘えて泣く事が出来ないんじゃないか?とも言われた。ハリーと比べてみろと…。ハリーを見続けているうちに、私の目は覚めて来たよ。今レンはどうしているのだろうと…慌ててレンを迎えに行ったさ。…その時初めて、レンは私に必死に腕を伸ばして大泣きをした。泣き疲れて眠る程…この子はこんなに激しく泣く程に内に溜め込んでいたのかと…泣きそうになった。…私達はその日を境に、もっと家族らしくなれたと、私は思った。…だが、それから半年後、あの事件が起こってしまい、結果レンを独りぼっちにしてしまう事となってしまった。スネイプがあの時言った、2度捨てた。という言葉は、スネイプが連れ去った日と、私が逮捕された日…その2度を言っていたのだろう。」
2人がそう話してくれた事にレンは微笑みを漏らしながら「話してくれて有難う。」と言えば、2人は顔を見合わせ苦笑を浮かべる。
「何度か言ったけれど、私の血は強いショックを受けた事は忘れさせてくれないわ。…ずっと覚えているのはジェームズさん達が亡くなったあの日の夜の事だけ。だからシリウスもリーマスも自分を責める事はしなくて良いの。今も当時の私も2人の事で傷付いたりしていないもの。それに、あんな恥ずかしい由来で名前を付けてくれたのよ?私は2人を疑っていないわ。万が一にも2人が腹の底では違う事を考えて私を騙して殺そうとしても、私は後悔はしないし恨んだりも憎んだりもしないわ。だから何も気にしないで、今まで通りのシリウスパパとリーマスパパでいて欲しいって思ってる。」
レンの言葉に、「我々にはこんなに愛おしい愛娘を裏切る道は万が一でも無い。」と、声を揃え笑ってくれた。