まだ皆がいれば気が紛れる。
ずっと此処に皆で居られれば良いのだが、ハリーも自分もホグワーツへ戻らなければならない。
だが、皆がいなくなれば…家に居るのが騎士団員だけになれば…
嫌でも自分が動けずただ此処で番をしている事しか出来ないという現実を突きつけられる。
シリウスはそれが嫌で堪らないのだろう。
シリウスと一緒に居てどんな人かは判ってきた。
シリウスは自由や仲間を愛している。
事件の真っただ中に、自分だけ安全な家に閉じこもって番をしている事なんか苦痛以外の何物でもない筈だ。
レンはそう思うと一昨年にピーターを逃がしてしまった事が悔しくて堪らなかった。
そんな気持ちを紛らわそうと、本部の中を散歩してみれば「それにきっと少し罪悪感を感じたのよ。だって心のどこかで貴方が退学になれば良いって願っていたと思うの。そうすれば2人とも追放された者同士になれるから。」という、ハーマイオニーの言葉に、レンはやっぱり本部に来るんじゃなかったと思い知らされる。
もう自分の足で歩けると、傷は治ったと何度モリーに説明しても、安静にしていなければダメ。と手伝いを拒まれ続けた所為もあり、本部に足を運ぶのは必要最低限になっていたのだ。
自分だけがこんな安全な所に閉じ込められているよりも、皆と一緒に戦いたい。トラウマに近いこの家に独りで閉じ込められる辛さ、一人になれば嫌でもいろいろな事を考えてしまう。そんなシリウス想いにどうして誰も気付いて上げられないのだろうか…。
ハリーがもし退学になれば、独りではなくなる。そんな事を一瞬タリとも考えなかった…とは言えないかもしれない。
でもシリウスが塞ぎこんでいる理由が、それだけだとは決して思えなかった。

それからレンはシリウスが部屋に来ない時は、シリウスのいる部屋で過ごす事が多くなった。
勿論、シリウスが独りでいたい、一人にして欲しい。そう思っているような雰囲気をしていない時に限ってはいた。
レンは自分の髪色と瞳の色、そしてハリーの髪色とハリーの瞳の色の刺繍糸を用意するとそれを丁寧に編み込み細長い紐を作る。