リーマスの気持ちも判らないでもない。
たった一人になってしまった親友を他の親友の元へ行かせない為には、こうしてダンブルドアの言いつけを守り閉じ込めておく事が最善の事なのだろう。
「えぇ。誰よりもシリウスを理解しているリーマスだもの。…そうね、なら私はシリウスを連れて行くのは諦めるわ。でもその代わりに"スナッフルズ"を連れて行くわね。リーマスは私が母のお墓詣りと森のお散歩に黒い犬が付き合っているだけ、そう思っててくれれば良いの。優しいリーマスパパなら、愛娘が"彼と始めてのおでかけ"を許してくれるはずだわ。」
「キミって子は…本当変なところまでアクアに似ているね。」
「私はなーんにも聞いてないし、なーんも知らないよー?」
トンクスはそっぽを向きそう言えばチラリとレンの方を向きウインクしてくれる。
「…お願い。私の護衛だって思えば良いでしょう?」
「シリウス…付き合ってくれるかい?」
シリウスは「仕方ない。」と言いながらも、どこか嬉しそうに口端を緩め犬に変身すればレンの隣に立つ。
「有難う。」
「その代わり、あまりあちこちを出歩かない事。出来ればモリーに見つからずに早く帰っている事、判ったね?」
「えぇ、判ったわ。」
「シリウスを頼んだよ。」
そう言いながら預けていた銀行の鍵をレンに渡し、シリウスは逆だろうと言いたげに小さく唸るが、レンは「頼まれたわ」と楽しそうに笑い姿くらましをした。

いつも通り漏れ鍋に1人と1匹が姿を現せば適当に挨拶をしながらレンはダイアゴン横丁へと歩いて行く。
犬もいつもより大きく尻尾を振っている。
先にグリンゴッツ銀行へ来れば、小鬼に「レン・クレスメントの金庫を開けたいのだけれど。」と声をかけ、小鬼はレンと犬を怪しげに見つめている。
「素敵な犬でしょ?お気に入りなの。」
自慢げに言えば、小鬼は曖昧に何度か頷き、案内してくれようとしたがシリウスは其処で足を止めた。