「スナッフルズ?」
シリウスは「ワンッ」と一声鳴き、トロッコ乗り場の所でお座りしてはそのまま尻尾をパタンパタンと振っている。
自分は此処で待っている、と言いたいのだろう。
このトロッコもシリウスとなら少しは気が晴れるかもしれないと思っていただけに、恨めしそうに見るレンに犬の口端がニヤリと上がった様な気がした。
1人で乗った久し振りのトロッコは、相変わらずの猛スピードと暴れ具合で、レンはぐったりしながらも、もう2度と乗るものか。と言いたげに大きな巾着と小さな巾着2つに金貨をもうこれ以上入れられませんと巾着が泣きそうな程に押し詰め、戻って来た時にはレンはすっかり元気がなくなり蒼褪めていた。
「あのトロッコ呪ってやるんだから!絶対私の時だけ運転が荒いのよ。」
そうぼやくと、スナッフルズは笑った様な気がし「笑い事じゃないのよ。私には死活問題だわ。」とレンは言った。
そしてさっさと目的の本や羊皮紙など文具の追加分を買い、用事を済ませれば「アイスが食べたい。」と我儘を言い出すレンに犬の瞳が一瞬驚いた色を見せた後、優しく細められ、マグルでいう喫茶店の様な店に入るレン。
そんなに驚くほどアイスが似合わないのか、それともシリウスが優しい目をする何かを思い出したのかはレンには判らなかったが、直ぐに許してくれたシリウスに感謝をした。
カップに入れてもらったアイスを2人で出来るだけゆっくりと食べた。
「お嬢さん、写真はいかがかね?直ぐに現像して渡すサービスをしているんだ。」
シリウスに「ごめんなさい。我儘言って。」と声をかけていれば、不意に声をかけられ思わず驚いてしまう。
一緒に買い物に来る友達も居らず、犬に話しかけ続ける可哀想な女の子。に見えたのかもしれない。
一方シリウスは警戒してみせたが、それがただの店員と判るも、警戒を解く事はせずジッとその者から視線を逸らさない。
「写真?貴方の所には何も残らないのに、良いの?」
「私の所に残す為に撮っているんじゃないんだ。これをきっかけに此処を思い出し、また足を運んでくれたら…ってね。」
シリウスに視線を向ければ好きにしろと言いそうに彼から視線を逸らしたので、レンは「ならお願いするわ」と言い、悪戯をすればブルブルッと頭を振りそれに笑いながらギュッと抱きしめる女の子の写真を撮ってもらった。