レンはそれに気付かない様に、わざと「その記憶を初めから見ていたら、シリウスが婚約者なんだって気付けていただろうし、色々やれたんでしょうけど。」と苦笑してみせた。
「仕方ないさ。脱獄少し前まで普通の子供だったんだ。やれる事も少なかっただろう。」
リーマスはそういうと優しく微笑んでくれ、なんか擽ったくなったとレンも小さく笑う。
「それと学校の事だけれど、ダンブルドアが学生の方が動き易い事もあるって言っていただろう?何もないのなら、頑張って来なさい。」
「はぁーい。」
「アクアの事は…あの日記のような物を完全に信じないでやってくれ。あれは日記じゃない。アクアは幼い頃から周りに弱音を見せてはいけないときつく躾けられていた所為もあって、弱音を吐く、という事をあまりしなかった。ヴォルデモートに拐かされた時も、次の日には皆の前では気丈に振る舞っていたんだ。心を休めてやらずに頑張って…思考が悪い方に傾きそれが止まらなくなった時、あぁやって吐き出す事で自分の心を保ち立て直そうとしたものだと思う。あそこまで考えていたなんて、私も気付かなかったが…それでもあれが全てだとは到底思えない。」
「アクアはね、太陽の様な人だったんだ。信頼を向けた相手には本当に愛情深く、そこにいて皆をいつも明るく照らしてくれていた。」
「口は悪いがな。」
「それはシリウス、キミがアクアを揶揄ったり煽るから、憎まれ口を叩かれるんだよ。」
そう言うリーマスにシリウスはニヤリと笑う。
「確かに、レンの赤い瞳がアクアにはショックだった。なんて事実がないとは言わないよ。けど、本当にレンを大切にしていた。」
「あの書き残した物の通りに常に憎んでいたら、後悔しか無かったら、あの女なら施設に預け、ちゃんと愛してくれる人に渡していただろう。愛のない家で育つ子供がどれだけ辛い事か、私もアクアも良く知っているからな。」
「だから…きっと最後の時、レンやシリウスの事を何度も思い出しては、ごめんねって謝っていたと思う。2人の幸せを祈っていたと思うよ。」
レンはその言葉を聞けば、小さく頷き、「有難う」と微笑んだ。
それからも2人はレンが安心して眠るまで2人はレンの手を握り傍にいてくれた。
それがとても心が休まり嬉しいと感じた自分をまるで子供の様だとも思ってしまったが、今だけは2人の好意に甘えよう。
レンはそう思うとそっと意識を手放していた。