「行ってきます。」
「行ってらっしゃいませ、レン様!」
此処で待っていなさい。そう言われ階段近くに立ち、時間を確認していればジニーが「おはよう」と時間に追われて騒いでいる皆を驚きもせずに階段を下りてきた。
「おはよう、ジニー。…なんだか騒がしいわね。」
「いつもの事よ。」
そう笑うジニーに向かいトランクが猛スピードで階段を駆け下りてくれば、レンは咄嗟にジニーを抱きしめ此方に引き寄せた。
が、トランクのその速度には勝てず、2人をなぎ倒しホールに転がり、痛い目覚ましだな…とレンは苦笑してしまう。
「大怪我をさせたかもしれないのよ。この馬鹿息子!!」
モリーはジニーを立たせ怪我を確認すれば、レンも立たせて同じように確認してくれる。
頭を打ったのか後頭部が痛かったが大丈夫とレンは笑ってみせた。
「シリウス。」
レンはシリウスを見つけると彼を呼び駆けつけたが、シリウスのその瞳は悪戯っぽく輝きレンを見つめている。
「まさか…」
そう言うレンの口元に人差し指を立てウインクをするシリウスに、レンは小さく笑ってしまう。彼はどうしてもハリーを見送りたいのだろう。そうしたい気持ちは、自分がシリウスだったら良く判る。
笑ったレンにモリーが此方を不思議そうに見るのが判れば、レンはシリウスを強く抱きしめその胸に顔を埋める。
「次の休暇には必ず帰ってくるわ。」
「あぁ、待っている。手紙を寄越しなさい、判ったね?」
「判っているわよ。」
「それと変な口車に乗っかってホイホイと男とデートしないように。」
「へ?」
まさかシリウスからそんな事を言われるなんて思っていなかったのか、レンが変な声を出せばシリウスはニヤリと笑った。
「教えてやると言われたらホイホイとついて行きそうじゃないか?」
「知らない人に懐かないわよ、私は。落ち着いたら今度はこっちでシリウスにデートしてもらうわ。」
そう言うレンにシリウスは片手を離しては彼女の額を指先で小突き、レンはクスクスと楽しそうに笑った。