「ハリー、私とトンクスと一緒に来るのよ。」
そう言うモリーの声に気付けばシリウスはウインクひとつレンにし、大きな黒い犬に変身をするとハリーの脇へと走っていった。
「あぁ、シリウス、なんて事を!ダンブルドアがダメだって仰ったでしょう!…まったく…それならご自分の責任でそうなさい!」
モリーもずっと閉じ込められたままのシリウスが可哀想になったのかしら?と密かに思いレンは口元を緩ませた。
「おば様、許してくれて有難う。」
レンが小さな声でそう言うと、モリーは優しく微笑んでくれた。
荷物のチェックをするとかで、玄関に全て荷物は置いていくようにと言われ、レンはムーディに「よろしくお願いします。」と小さく頭を下げれば、家を後にした。
あの時は瞳が見えなかったが今は見える。
見た事もない景色が何処か新鮮でレンは辺りを見渡し、背後に視線を向けた時、先程まであった12番地が姿を消していた。
レンは最後尾をとぼとぼと歩いていく。
こうして大人数で駅まで向かうなんて初めての事だった。
先頭の方をモリーと老婆に変身をしているトンクス、そしてハリーとロンとハーマイオニー。
大きな犬が嬉しそうに吼えながら3人の周りを跳ね回り、鳩に噛み付く真似をしたり、自分の尻尾を追いかけたり、猫を脅かしたり…。
そんな久し振りの散歩を楽しむ犬の様子にハリーは楽しそうに笑っていた。
双子はジニーを交え、なにやらひそひそと話しながら歩いていたし、その後をアーサーとリーマスが歩いている。
何故だかその皆の様子を目に焼き付けておきたかったのだ。
あの時のモリーではないが、いつか壊れてしまうかもしれないこの光景を壊したくはない、忘れたくない。
「レン?遅れない様にこっちへ来なさい。」
そう手を差し伸べてくれるリーマスの手をとり隣を歩いた。
「何かあったかい?」
「人が沢山いて、慣れないだけよ。なんかこの光景を目に焼き付けておきたかったの。…どうして私が後ろに歩いているって気付いてくれたの?」
「娘が居なければ気付くのは当たり前だろう。」
「置いて行かれても姿現しできるわよ?」
そうきょとんとするレンに、リーマスはそういう問題じゃないよと小さく笑った。