レンはシリウスの時と同じ様にリーマスに抱きつき顔を胸に埋めた。
「休暇には戻ってくるから…パッドフットの事お願いね?リーマスも無茶したら駄目よ?」
「あぁ。レンも気を付けるんだよ?手紙を忘れないように。」
「判ってるわ。」
そう言えば頬に口付け「いってきます。」といつもの様に挨拶をした。
「スナッフルズもいってきます。」
レンは一度大きな犬を抱きしめその頬に口付けそう言えばレンの頬にスナッフルズも鼻を押し付けてから顔を摺り寄せてくれ、レンはそれに笑んでみせるとトンクスやモリー、アーサーにも言ってきますと一声かければモリーはレンを抱きしめてから見送ってくれ、汽車へと乗り込んだ。
皆はまだ大人達に別れを告げていた。
モリーは急がせながら全員を抱きしめていたし、シリウスは二本足で立ちハリーの両肩に手をかければモリーに叱られていた。
汽車が発車すれば窓を開けハリーは「さようなら!」と手を振り、ロンとハーマイオニーも手を振っていた。
ジョージがちらりとレンを見遣り、いいのか?と声をかけたのでレンは小さく頷いて答える。
窓の外に視線を向ければスナッフルズが汽車を追いかけるようにプラットホームを駆けている。
汽車が角を曲がればそんな姿も見えなくなり、フレッドは両手を打ち鳴らせば「一日中無駄話をしている訳にはいかない。リーと仕事の話があるんだ。」そう言い、フレッドを連れて通路を右へと消えていく。
「それじゃ、コンパートメントを探そうか?」
そう言うハリーにロンとハーマイオニーが目配せし合った。
監督生は専用の車両に行く事になっているのだ。
ロンは気まずそうにハリーを見れずに爪ばかりを見ていたが、ハリーは説明をしてくれているハーマイオニーに「うん、良いよ。」と一声かければ、ジニーの声について行く様に歩いていく。
レンはその場から動けなかった。
ジニーとハリーと一緒に居るのが嫌な訳ではない。
あぁ、此処でセドリックと鉢合わせ転びそうになった所を助けてもらったっけ…。
なんて思い出が過ぎれば、鼻の奥がツーンとしレンは頭を横に振りその考えを無理矢理何処かへやり最後尾まで荷物を引っ張っていく。
そして壁を背凭れにしトランクに腰掛ければ持ってきた本を読む事で気を紛らわせた。
暫くそうしていれば何処からのコンパートメントから僅かに頬を赤らめて出てくるレイブンクローのシーカーの姿が視界に入り、レンはもやっとした胸を誤魔化す様に視界を本でいっぱいにした。
汽車に乗るまではあんなに楽しかった気分が随分と落ち込み、レンは腕の印が熱い気がしてくれば「邪魔しないで。」そう小さく呟き腕を拳で軽く殴る。「私は貴方なんかには負けない。」そう言い其処を強く握れば血が滲み、レンは苦笑をもらしてしまった。