「さぁさぁ、そんな態度ではいけませんね。平和な協力、これこそ鍵です。我らゴーストは各寮に分かれておりましても、私は『血みどろ男爵』と事を構えようとは夢にも思いませんぞ。」
ニックが咎める様に言えば、ロンは「怖いからだろ」と言ってしまう。
それにニックは大いに気を悪くした様だった。
「怖い?痩せてもかれてもニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿・命在りし時も絶命後も臆病の汚名を着た事はありません。この体に流れる気高き血は…」
「どの血?まさか血があるの?」
「言葉の綾です!私が言の葉をどのように使おうと、その楽しみは、まだ許されていると愚考する次第です!例え飲食の楽しみを奪われようと。」
ニックは憤慨のあまり、殆ど切り離されている首がわなわなと危なっかしげに震えていた。
「ごめんなさい、ニック。ロンは貴方を愚弄したり笑いものにしようとした訳じゃないの。貴方の気高き魂が臆病風に吹かれる様な人物だとは本気で思ってないわ。」
「私の死を愚弄する生徒がいる事には、この僕(ヤツガレ)、慣れております!」
レンがフォローするもニックの機嫌は直る事はなく、ハーマイオニーはロンに恐ろしい一瞥を投げたが、不幸な事にロンの口の中は爆発寸前まで詰め込まれていたので、やっと言葉になったのは「ちがン、ぼっきみンきぶン、ごいすンつもるらい」だった。
勿論、ニックはこれで十分な謝罪にはならないと思ったらしく、羽飾りつきの帽子を直し空中に浮き上がり、コリン、デニスのクリービー兄弟の間に座った。
「お見事ね。」
ハーマイオニーはロンに食って掛かる。
「何が?簡単な質問もしたらいけないのか?」
やっと食べ物を飲み込み、怒ったようにロンが言えば「もう良いわよ」とハーマイオニーも苛々している様だった。
2人はそれから食事の間中、ぷりぷりして互いに口を利かなかった。
ハリーもレンもロンとハーマイオニーの言い合いには慣れっこだったので、特に仲直りさせようと気をもむ、と言う事はなかった。
レンは糖蜜パイを皿に乗せれば、それを口に運ぶ。程よい甘みが口の中に広がり、その甘みがなんだか癒されるようだった。