殆どの生徒がニヤニヤし『この女、ホグワーツでのしきたりを知らないな』と思ったに違いない。
「校長先生…歓迎のお言葉、恐れ入ります。ホグワーツに戻ってこられて本当に嬉しいですわ!」
少女声でわざとっぽい咳払い…それに自分の意識が戻された事にレンは不快感を露わにする。
今までの楽しい空気が消え去り、表情が昔のように凍った気がした。
「そして皆さんの幸せそうな可愛い顔がわたくしを見上げているのは素敵ですわ!みなさんとお知り合いになれるのを、とても楽しみにしております。きっと良いお友達になれますわよ!」
「「あぁ、そうだろうね。」」
双子は皮肉を込めてそう呟きこぼしていたが、レンはこの人にとても違和感を感じていた。
本当の自分を隠しているような…体裁上良い魔女を演じているような…何か不自然さを感じるのだ。
アンブリッジはそんなレンの考えを知る由もなく、また可愛らしく咳払いをする。
「魔法省は若い魔法使いや魔女の教育は非常に重要であると、常にそう考えてきました。皆さんが持って生まれた稀なる才能は慎重に教え導き養って磨かなければものになりません。魔法界独自の古来からの技を後代に伝えていかなければ、永久に失われてしまいます。そう、いまやクレスメントのあの素晴らしい力を使える者が世界でたった一人になってしまった様に…そんな過ちを繰り返してはいけないのです。我らが祖先が集大成した魔法の知識の宝庫は、教育という気高い転職を持つものにより、守り、補い、磨かれていかねばなりません。」
こんな大勢の前で貶されるとは思わなかった。レンはそうきょとんとしている。
さっき感じた違和感はこれかもしれない。アンブリッジはレンが…クレスメントが嫌い。それは良く判った。
自分もそんなに好いてはいないが、伯父や母が生きてきた時間を”過ち”と言い退ける彼女は嫌いだ。レンははっきりそう思った。
それからレンは彼女の言葉は聞いていなかった。
ただ不快にさせられるだけだ…ただでさえ不安定な時…そんな事に耳を傾けていたくはない。
そう思い、レンは顔をそらせば気遣わしげに見遣るハリーや、もっと遠くのテーブルからアイツは判ってない!と憤慨している様子のドラコの姿があった。
それに曖昧に微笑んで見せれば、レンは再度俯き瞳を閉じる。