「ごめんなさい、前を見てなかったの。」
「僕もそうなんだ…ごめん。」
「大丈夫よ。…ねぇハリー?」
「ごめん、僕ちょっと行かなきゃ。」
ハリーの手を取ったまま心配そうに見つめるレンからハリーは視線を逸らすと、出来るだけ丁寧にその手を退けて何処かへ行ってしまった。
レンはその場に立ち尽くすしかなかった。
「どうした?」
その場に立ち尽くしたままのレンを心配した様に大広間からロンが声をかけてくれる。
昼食っちまおうぜ?とレンの背を押しハーマイオニーの隣に座らせてくれた。
「ハリーなら気にする事ないわ。さっき私達が言い合いを始めたら角突き合わせてばかりだーって当り散らしたばかりだったのよ。それより貴女大丈夫?火傷はしてない?」
「してないわ。…スネイプ先生が、"傷"を確認しただけだから。辛くなったら薬を煎じるから来なさいって…それだけよ。」
レンはそう言い飲み物を飲めば、食事をする気にはなれず「少し外の空気吸ってから行くわね」と1人大広間を後にし、急ぎ足でハグリッドの小屋へと向かった。
勿論その扉には鍵がかけられており不在なのは判っていた。
その扉に背を預け、空を見上げながら瞳を閉じ大きく息を吸った。
「…家族に逢いたい。」
レンがそう呟いた時だった。
白い半透明の球体がどこからか飛んでくれば、レンの周りをくるくると飛び回る。
レンは不思議に首を傾げ、手に止まりたそうなそれに向かって手を差し出した。
するとそこにはちょこんと止まる姫梟の姿。
"アクアは梟なんだよ"
"大空を飛び回った後は私の頭の上に止まり鼻歌を歌うのが好きだった"
リーマスとシリウスの言葉を思い出せばレンはくすりと笑ってしまう。
これは、母の姿だ…。