『大丈夫。自信を持って進みなさい。お前はあんな女には負けない、自慢の愛娘さ。』
その梟は伝言を預かったのだろう…そう男の人の声を伝えるとすぅっと消えていく。
「…本当、驚かせてくれるのね。」
そう、その声の主はシリウスだった。
と、いう事はシリウスの守護霊は母だ。
母が守っているのか、母への思いが強いのか…それはどちらか判らなかったが、家族に会いたいとしょぼくれてたレンを励ますには良いタイミングの良い方法の様に感じた。
きっと梟が急いで手紙を運び、それを読んだシリウスが、早く元気付けたかったのかもしれない。
そう思えば心が暖かくなる。
守護霊の魔法にこんな使い方があるとは知らなかった…。
早く使える様になって、シリウスにお返ししなきゃ。
レンはそう思うとその場を立ち、次の授業の場所へと向かった。
次の授業は占い学だった。
開始早々レンは少し遅刻をしてしまい、申し訳なさそうに入ってくる彼女にトレローニーはにっこりと微笑んだ。
「あの…10分遅刻しなければいけないって、お告げが…あったんです。」
トレローニーの得意な言い分を真似する様に言えば数人の生徒が笑い声を漏らし、トレローニーはそれなら仕方がないわ。とあっさりと受け止め罰則なしで席に着かせてくれた。
授業はイニゴ・イマゴの『夢のお告げ』を使用した夢占いついて、だった。
生徒は二人組になり、夢についてお互いの最近の夢について教科書に指定された本を使用しながら解釈する、という内容だった。
レンは遅れてきた所為で、相方がいなかった。
これは楽で良い。と気を緩ませがのが運の尽きだ。いや、遅れてきた時点で終わっていたのだろう。
トレローニーと組み、彼女に対して自分の夢を言わなければならなかった。
「さぁ、ゆっくりで良いのよ。貴方の夢を教えてくださいまし。」
トンボの様な眼鏡が真っ直ぐにレンを見つめている。
「昔からよく見るのは人の悲鳴と…緑の閃光の夢です。…今は…黒い大鍋の夢もみます。キラキラと輝かせながら魔法薬であろう物が煮込まれている、大きな…鍋。」
チリッと腕が熱く痛むのを感じる。
レンは腕をトレローニーに気付かれぬよう叩き「邪魔しないで」と消えそうな程小さな声で呟けば、その腕を強く握りしめた。
トレローニーはレンの夢に対して、様々な不幸をでっち上げるのに夢中でそれに気付いていない事に感謝した。