レンは姿勢を正したまま授業が進むのを待つ。
そう、1年の時に双子に教わった。…ケチをつけさせる隙を与えなければ良いのだ。
これはあっちが売ってきた戦いだ。レンは変な闘志が沸いていた。
アンブリッジはハンドバッグを開け自分の杖を取り出した。
異常に短い杖だ。
先生が杖で黒板を強く叩くと、たちまち文字が浮かび上がる。
『闇の魔術に対する防衛術 基本に返れ』
「さて、皆さん。この学科のこれまでの授業は、かなり乱れていてバラバラでしたね。そうでしょう?」
アンブリッジは両手を体の前できちんと組み、正面を向いた。
「先生がしょっちゅう変わって、しかもその先生方の多くが魔法省指導要領に従っていなかった様です。」
レンはその一言で彼女という人がどんな人か解った気がした。
純血至上主義と似た様な考えだ。
他のどの動物達より人間が有利で優れている、それ以外は認めてはならない。そういった感じだろう。
だから…人狼が…異常なまでの警戒心を持ったムーディ(実際は偽物だった)が教鞭を振るっていた事が許せないのだ。
「その不幸な結果として、皆さんは魔法省がOWL学年に期待するレベルを遥かに下回っています。しかし、ご安心なさい。こうした問題がこれからは是正されます。今年は慎重に構築された理論中心の魔法省指導要領通りの防衛術を学んで参ります。これを書き写してください。」
先生はまた黒板を叩いた。
『授業の目的
1・防衛術の基礎となる原理を理解する事。
2・防衛術が方法的に行使される状況認識を学習する事。
3・防衛術の行使を、実践的な枠組みに当てはめる事。』
数分間、指定されたものを書き写す音が教室の中を響かせ、全員が書き写し始めると先生が聞いた。
「みなさん、ウィルバート・スリンクハードの防衛術の理論を持っていますか?」
数人が持っています。というボソボソ声が聞こえ「はい、アンブリッジ先生」とレンははっきりと言う。
その表情は死喰い人と接する時と同じだ…ハリーはそう思ったに違いない。
「そうです。わたくしが質問したらお答えは「はい、アンブリッジ先生」または「いいえ、アンブリッジ先生」ですよ?さぁ皆さんご一緒に。皆さん、ウィルバート・スリンクハードの防衛術の理論を持っていますか?」
「はい、アンブリッジ先生」
教室中がわーんと鳴った。
「よろしい。では5ページを開いてください。『第1章 初心者の基礎』お喋りしない事」
レンはそのまま読み始めた。だが非常に面白くはない。
授業のつまらなさで言えば睡魔を誘うピンズ先生と良い勝負だろう。
レンは軽く流し読みすれば、バレない様に小さく息を吐いた。
ふと視線が気になり、そちらを見やればハリーが『絶望的につまらない』と言った表情でレンを見ていた。
レンは思わず口元を緩ませてしまう。隣に座るハリーの掌に『私も』と書けばハリーはニヤリと笑った。
『けど、喧嘩を売られたから、イイコのフリをして反撃のチャンスを狙っているの』
そう書くと、あぁそれでか。と言いたげに小さく頷いた。