「貴方、お名前は?」
「ディーン・トーマス。」
「それで?ミスター・トーマス?」
「ええと、ハリーの言う通りでしょう?もし僕達が襲われるとしたら、危険のない方法なんかじゃない。」
「もう一度言いましょう。このクラスで襲われると思うのですか?」
アンブリッジは人を苛々させる様な笑顔を生徒達に向ける。
「いいえ。でも…」
「この学校のやり方を批判したくはありませんが…しかしあなた方はこれまで大変無責任な魔法使い達に晒されてきました。非常に無責任な…言うまでもなく…非常に危険な半獣も居ました。」
レンは笑顔を消さずに自分の腕を机で隠しながらキツく握りしめ爪を立てる。
震えながら痛いほど食い込むその爪はローブに血を垂らしていく。
ダメだ…こんな挑発に負けてたまるか…。
…リーマスはこんな扱いを今までずっと受けてきたんだ…。
レンはそう思うと鼻の奥がツーンとするのが判り、大きく気を吸い、気持ちを落ち着かせる。
「ルーピン先生の事を言っているなら今までで最高の先生だった!」
「挙手、ミスター・トーマス!」
『…覚えているのだろう?あの光景を…あの閃光が胸を貫いた様を…やりたくて血が騒ぐのだろう?お人好しの魔女のフリはもう止めるんだ。』
ディーンの言葉に驚き瞳を大きくしたのと同時に冷たい声が聞こえる。
レンは顔を誰にも見られぬ様俯き、小さく身を震わせた。
『さぁ、どうした?やり方は知っているだろう。俺様が目の前でやって見せた様にやれば良いだけだ…』
教室内では生徒とアンブリッジの攻防が繰り広げられているのが、どこか遠くの出来事の様に耳に入ってはこなかった。
だが、ハリーの「ヴォルデモート卿とか?」と言う言葉がはっきりと耳に入り、頭の中のヴォルデモートがニヤリと笑った気がした。
「皆さんはこれまである闇の魔法使いが再び野に放たれたと言う話を聞かされてきましたが、これは嘘です。」
「嘘じゃない!それじゃレンの傷は誰にやられたって言うんだ!?何処から帰ってきたって言うんだ!」
「あれは不慮の事故です。自分勝手に身も弁えず、三大魔法学校対校試合の裏側を見ようと忍び込んでの事故、なのです。」
「事故でできる傷じゃない!」
「罰則です!」
言い訳出来なくなったのか、それともこれ以上話したくないと思ったのか、アンブリッジはそうハリーに言い放った。