レンが青いその瞳を赤く染まった時の様に妖しく光らせ血塗れの手を挙げれば、アンブリッジは瞳を丸くした。
「ミス・クレスメント。貴女の質問は後程聞かせていただきましょう。貴女は医務室へ向かいなさい。今すぐに。」
「魔法省は、一生徒が簡単に忍び込める場所で、あんな生死の境を彷徨う程に強力な闇の魔法をお使いになったのですか?」
レンの言葉にアンブリッジは眉をピクリと動かし、「そうだ!お前の言ってる言葉はおかしいって皆も解るはずだ!」とハリーも声を上げる。
「"今は"魔法省に敵対するつもりはありません故、"魔法省の為に"はっきりと言わせて頂きますが、私の傷はあの試合や会場で負ったものではありませんわ。…聞く耳を持たぬ者に語る言葉は持ち合わせておりませんので、多くは語りませんけれど、少々お言葉にはお気を付けになられた方がよろしいかと。」
レンははっきりとそう言うと、荷物をカバンに投げ入れるようにし「こんな若造に言われなくとも、先生ならご存知でしたわね。…それでは先生に従い失礼させて頂きますわ。」と冷たく微笑んでから足早に教室を後にした。
我ながら嫌味がたっぷりだとは思ったが、あの事件がなかった事にされる事は許せなかった。
セドリックにもあったであろう、多くの未来という時間。
それを無惨にも奪われてしまったのだ。
夢であったなら…そう思った事がないとは言わない。
だが、それはセドリックが生きているなら、だ。もうこの世にはいない彼を…なかった事になんてさせたくは無かったのだ。
レンは医務室へは向かわず、スネイプの事務所の様な部屋を遠慮がちにノックするが流石に返事はない。
ちらりと教室の方を伺えば、スネイプは他の学年の授業をしているところだった。
少しだけ扉を開けたレンと中にいた双子と視線があいレンも向こうも固まっている。
「ウィーズリー。我輩の授業は上の空になる程そんなにつまらないかね?」
「はい。じゃねーや、あの…!」
レンははっきり「はい」と言ったジョージに思わず吹き出せば、スネイプのギョロっとした視線が此方に向いた。
「ミス・クレスメント…我輩の授業の妨害をしにきたと言う訳だな…」