「はい。」
と、言えば中にいるグリフィンドールの生徒達から笑い声が漏れる。
「…と、言いたいところなんですけど…先生が、来いと仰った事態でしたので…」
そう言い、血で真っ赤になった袖をみせ、そこはまだ血が溢れる様にグチュグチュとしていた。
「先程の部屋で待て。」
「はい。…お邪魔して、すみませんでした。」
スネイプは何かしらの指示をしてきたのだろう、直ぐに指定した部屋に戻って来れば大きく溜息を吐いた。
元々煎じてあったのだろう薬を取り出しそれをレンの目の前に置く。
レンはそれを疑いもせずにゆっくりと飲む間、スネイプは服の血を拭い、傷を露わにするとその手当を始める。
一口飲む毎にそれが身に染みて行き、まるでリーマスやシリウスに抱きしめてもらい頭を撫でてもらっている様な気分になる。
「もう少し上手く立ち回れ。」
きょとんとレンがスネイプを見やれば、その瞳は心配している様な色をしている。
「私の穢れた血なら全て流したって後悔はしません。」
「我輩はそういう話をしている訳ではない。」
こいつは馬鹿かと言いたげな深い溜息を吐かれてしまうが淡々と独り言の様に呟くスネイプ。
「スネイプ先生、ごめんなさい。少しだけ…」
そう言うと手当をする為に膝をついていたスネイプの肩にコツンと額を寄せる。
やっぱりこの薬品の香りが…何だか懐かしい…。
「私が先生の香りを懐かしいを感じるのは…あの時、先生が私を救ってくれたから、なんですね。」
シリウスとリーマスから聞いた1歳の誕生日に起こった出来事。
あの時スネイプが連れて行ったと言っていた。
そして、シリウスが迎えに来てくれるのに時間がかかった、とも…。
その間、スネイプが面倒を見てくれていたとしたら…。
そう思っては呟きこぼしたその言葉に、スネイプは驚いた様にピクリと一瞬身が震えたが、何も言いはせず、ただそうする事を許してくれたほんの数分間がとても短く感じた。