「それを飲んだら寮に戻りたまえ。」
結局スネイプは何も語らずにそうとだけ言うとパタリと扉を閉め授業に戻ってしまった。
レンはそれに小さく息を吐くとテーブルには先程はなかったオレンジジュースが置かれている。
きょとんとそれを見遣り、まるで毒でも入っているという様な態度でほんの少し口に含めば、それは間違いなくオレンジジュースだった。
『今度は水じゃなくて、オレンジジュースが良いです。』
昨年度に自分が言った言葉を思い出せば、レンは声を出して笑ってしまう。
あのスネイプが、私の為にオレンジジュースを出してくれた。
授業を抜け出してきたと難癖つけたり減点や罰則をせずに、オレンジジュースを…。
ハリー達の言葉が今自分でも一番実感している時だろう…"スネイプはレンには甘い"
父親が此処にも1人いる様な…そんな不思議な感覚に襲われる。
レンは「有難うございました」とお礼を書きそれを机の上に置こうとした。
が、そこには黒い水晶が不自然にポツンと置かれていた。
なんだろう…そう思い指先が水晶に触れれば、それは淡く光り、小高い丘の上に一本の樹があり、可愛らしい花を散らせている。
きょとんとし、メモ書きの下にレンは言葉を書き足す。
「これを置こうとしたら水晶に手が触れてしまって…なんか光っちゃいました。ごめんなさい。」
スネイプがあんな咲き誇る花が好きだとは知らなかった…今度なんていう花か調べてみよう。
レンはそう思いながら談話室に戻り、寝室に荷物を置くと羊皮紙を広げた。
せっかく早く談話室に戻ったのだ。宿題を先に終わらせねば…。
取り敢えずひとつ終わらせてから、と魔法薬学の宿題に手をつける。
終業ベルが鳴り響き暫くすれば、レンは「ふぅ」と小さな息を吐いた。