第36話
レンはそっとハーマイオニーの側に戻れば彼女はソファの上で船を漕いでいた。
「寝かせておいてやれ」
レンが部屋に行きなさいと声をかけようとすれば、慌てた様にジョージが言いレンは首を傾げた。
「私の事は起こしてくれたのに?」
「彼女は俺たちの邪魔ばかりするんだ。」
ヒソヒソとジョージが耳元で言えば、あぁ…とレンは苦笑を漏らした。
ジョージの足元には鼻血の跡を残した1年生が何人もいる。
大丈夫?とレンは1年生に声をかけその跡を消してあげた。
「なぁ、レン」
不意に名を呼ばれレンはジョージを見遣れば、ジョージは寝室への階段の所へレンを引っ張ってくれば軽く腰を屈めレンの耳元で話を始める。
「大丈夫か?」
「ふふ。最近よく心配してくれるわね。大丈夫よ?宿題もちゃんと終わっているし、別の本を読む時間だってあるもの。」
「顔色が良くない。適当に誤魔化しといてやるから今日はもう寝た方がいい。」
それに頷いて寝室に戻ろうとするも、急に吐き気に襲われ口元を片手で押さえ「医務室へいく。」と一言漏らすと、ジョージが背を支えこっそりと抜け出した。
この吐き気はなんだろうか…もしかしたら誰かが襲われて守りの力が働いたのかもしれないと思うが、魔力の乱れは何も感じない。
レン達は急ぎ足で医務室へ向かうが、あの嫌味な少女声の咳払いが聞こえ、レンはしまったと思った時はもう遅かった。
「こんな夜更けに、何処に行こうと言うのかしら。」
「彼女の具合が悪いので医務室へ連れていく所です。よければ退いてくれませんかね。急いでいるんだ。」
「急ぐほど具合の悪い子が、そんなに歩ける思えないわ。」
レンは何も言えなかった。
「いらっしゃい。罰則を与えます。」
「罰則…それは普通後日ではありませんか?」
「今、貴女達を此処で離してしまったら、寮へ戻るとは限らないでしょう?そういう子には例外もあり得るのよ。」
小声で逃げるぞ。とジョージは囁くも、後々貴方に酷い事をされたくない。とレンは首を横に振った。