アンブリッジがやっと医務室へ姿を現した時は、レンのお腹の直診している時だった。
腹部に紫の傷痕と其処を中心にクモの巣状に張り巡らされたもの…それを見てアンブリッジは息を呑む。
マダム・ポンフリーはレンとジョージの方を向き、アンブリッジには背を向けたままで口を開いた。
「本当に、貴女って子は…もう少し体を労わってあげないといけませんよ?この闇の魔法の所為で貴女の傷の塞がりは遅い…この前は腕を血だらけにして今度はお腹ですか?見た目は元気そうでも貴女の体の中はボロボロなのよ?」
「ほら怒られたじゃないか。言うこと聞いて寝てなきゃダメなんだ。」
ジョージはレンの額を指先で小突き、レンは小さく「ごめんなさい」と謝ると、アンブリッジは「此処ならばもう安心ですわね。」と逃げる様に去って行ってしまい、声を出さずにレンとジョージは笑ってしまった。
フォークスが傷を癒してくれたのだ。開く事はない。その事をジョージにも小声で知らせればニヤリと笑ってくれる。
「でも”力”の使いすぎには注意なさい。貴女の命を縮めかねない事ですよ。」
「目的の為なら、この穢れた命の1つや2つ、安い物です。」
「貴女はそうだとしても、もう貴女は1人ではないでしょう?貴女を大切に思う者から、貴女を失わせるつもりですか?」
マダム・ポンフリーの言葉に、レンは何も言えなくなってしまった。
確かにあの悲しみは、シリウスとリーマスに…そしてこんなに心配してくれたジョージ達にさせたくはない。
いつも笑っていて欲しい…だが、自分に残された時間は…ヴォルデモートが終わる時までだろう…。
レンはそれにどこか悲しそうな表情をしては、返事をせずに出された薬を一気に飲み干す。
そして薬がもたらす深い眠りにレンが就けば、ジョージは安心したように寮へと戻って行った。
レンが目を覚ました時は日曜の夕方だった。
寝起き早々に見たくもないアンブリッジが姿を現し、レンは思い苦笑が出てしまった。
要件は聞かなくても想像はできる。
「無事で良かったわ。具合が悪いならちゃんとそう言わなきゃダメ。それをちゃんと言わなかった事、夜中に出歩いた貴女の行動、全てに責任はあります。けれど見抜けなかったわたくしも悪かったのよ。罰則はしなくてよろしい。ですから、昨晩の事は他言してはいけません。判りますね?」
「はい、アンブリッジ先生。ですが話す場はお気を付けになった方がよろしいかと。」
アンブリッジは小さく首を傾げる。
「どこに"耳"があるか判りませんから。」
そう言い指をさせば、そこには耳がポツンとあり、アンブリッジの顔色が変わった時は遅かった。
直ぐにその耳は消え去り、その持ち主を探す様にアンブリッジも何処かへと消えて行ってしまい、レインは笑いを堪えるのが辛かった。