「先生、わたくしのメモが届いているかどうかと思いまして。先生の査察の日時を…」
「当然受け取っております。さもなければ、私の授業に何の用があるかとお尋ねしていたはずです。」
きっぱりとそう言えば、レンはどこか気持ちがすっきりし、マクゴナガルを尊敬する気持ちが上がった気がした。
「先程言いかけていたように、今日はそれよりずっと難しいネズミを消失させる練習をします。さて、消失呪文は「ェヘン、ェヘン」」
またアンブリッジだ。
「一体、そのように中断ばかりなさって、私の通常の授業法がどんなものか、お判りになるのですか?いいですか?私は通常、自分が話している時に私語は許しません!」
アンブリッジに向かって冷たい怒りを放ち言うと、アンブリッジは横面を張られた様な顔をして、一言も言わずにクリップボードの上羊皮紙をまっすぐに伸ばし猛烈に書き込み始めた。
マクゴナガルはそんな事を歯牙にもかけない様子で再びクラスに向かって話し始めた。
「先程言いかけました様に、消失呪文は消失させる動物が複雑なほど難しくなります。カタツムリは無脊椎動物で、それほど大きな課題ではありませんが、ネズミは哺乳類でずっと難しくなります。ですから、この課題は夕食の事を考えながらかけられる様な魔法ではありません。どのくらい出来るか拝見しましょう。」
レンはマクゴナガルが言っている事がとても正しく感じた。
何度杖を振るっても、一部だけ残ってしまう。
一度瞳を閉じ深呼吸をし集中して杖を振るうと、完全に消せた様に見えたが、マクゴナガルが「もう一度」とレンに指示すれば、そのもう一度が出来なかった。
むうっと上手く行かない事に唇を尖らせれば、その調子で集中して練習なさい。と指示されてしまった。
マクゴナガルが最後にネズミの回収を指示すればレンは半透明になったそれを箱の中に入れ立ち上がり、マクゴナガルの元へと駆け寄り、消失呪文の確認をすればマクゴナガルは半透明になってしまった理由を解りやすく説明してくれレンはお礼を言うと頭を下げ、マクゴナガルに声をかけようと待っていたアンブリッジにも軽く頭を下げてから教室を後にしようとした。
だがハーマイオニーがレンの服を掴めばレンは首が締まり軽く咳き込んでしまう。
「ホグワーツで教えて何年になりますか?」
「この12月で39年です。」カバンを閉じながらそういうマクゴナガルにアンブリッジはメモを取るとそれ以上何も聞かなかった。
「査察の結果は10日後に受け取る事になります。」
「待ちきれませんわ。」
マクゴナガルは無関心な口調でそう言いやれば、早く出なさい。とレンやレンを掴むハーマイオニー、そしてロンとハリーを自分より先に追い出した。
ハリーはマクゴナガルに僅かに笑いかければ、マクゴナガルも僅かに笑い返した姿に、気持ちは同じなのだろうな、とレンは把握する。