「手短にしたまえ。」
「伯父は…どんな人だったのでしょうか?」
「我輩よりもお前の方がよく知っていると思うが?」
「伯父と話をする事は滅多にありませんでした。ただ叱りに来るくらいで…色々話を聞いて考えていたら…良く判らなくなってしまって。」
レンがそう言うと面倒くさそうに息を吐いた。
「お前の伯父は…スリザリンの寮に属していた。お前も知っている様に闇の魔術に詳しい。元々クレスメントとは魔法族の象徴とも言える存在だった。故に純血主義者が多かった。」
「王と崇められていた時代もあるという話を聞いた事があります。」
「あぁ、その通りだ。魔法省というものが出来る前に、魔法族を導き守ってきていた存在の1つにクレスメントがあると言われている。我輩も詳しくは知らぬが…お前の伯父はその意志を十分に受け継いでいた。魔法族にとって相応しい姿へと…魔法族というだけで忌み嫌ったマグルを認めるべきではないと。」
昔、魔女というだけでマグルに殺されていた時代もある。
そういった事を考えても認めたくない…伯父はそんな考えを持っていたのだろうか…。
「お前の母もそうやって育てられてきていた。お前の伯父は良くできた妹のアクアを大切にしていた。在学中も1人グリフィンドール寮へ行かされたアクアを憂い気遣っていた。」
まるで自分に対してのドラコの様だと少し思っては、レンは小さく苦笑を浮かべる。
「アクアも自分は純血主義者のご令嬢。それを一部の者の前以外では見事に演じており、家族全員を含め、皆それに騙されていた。だが、アクアの両親が亡くなった日、お前の伯父は死喰い人となり、アクアの身を奴は売り渡そうとした。それから1年間はアクアも黙ってはいたが、彼奴が成人してからアクアは印籠を渡し、完全に見限る出来事が起こった。」
「…見限る?」
「アクアが変わってしまったのは婚約者の所為だと思い込んだお前の伯父はブラックを襲った。ブラックは戦うつもりだったのだろうが、今にも噛みつきそうなアクアを思ってかそのまま逃げ果せたそうだ。そして後日…アクアは彼奴に会いに行った。彼奴はアクアがもう元に戻らぬのなら、その力を奪い取ろうとした。その血をわが身に取り込んで、な。」
「クレスメントの力はその血肉や魔力、意思に宿ると聞いています。他者が取り込んでもそれは意味のない事なのでは…?」
「あぁ、それは勿論"他者"ならば、だ。同じ血の使いてならば、多少違うのだろう。我輩は彼奴から聞いただけ故に詳しくは知らぬが…継承の儀式というものの中にはその力を譲り渡す儀式も昔はあったと聞いた事もある。ならば血を飲むというのは強制的に力を奪うという行為なのだろうと把握している。」
レンはその言葉に驚きを隠せなかった。