確かにとても痛いが、痛いと騒げば騒ぐほど、アンブリッジに負けた気がしてなんか嫌だった。
右の手の甲が切り裂かれる感覚がするが、ただ痛いだけだ。我慢できない訳ではない…あの女にだけは負けたくない。何故だかそんな闘志しかなかった。
その様子にハリーも驚いた様でちらりとレンの手を見ればその手も自分の手と同じ様に血が滲んでいた。
「貴女はこの罰則はあまり堪えない様ね。」
「こういった痛みには慣れています。」
「貴女はずっと特別扱いを望んできた悪い子だった訳ね。」
反論しようとするハリーから言葉を奪う魔法をこっそりとかけ、ハリーは驚いた様に目を丸くしている。
「普通と違う事を特別というのならば、赤ん坊の頃から別宅に閉じ込められていた私は特別だったのかもしれません。伯父は純血至上主義の魔女になる様私を教育しましたが、私はそうはなりたくなかった。そう反抗する度に拷問されたので、あれよりマシな痛みには慣れています。嫌じゃない訳でも、痛くない訳でもないので、精神的には堪えますけど。」
そう言うも、アンブリッジは何も言わず、レンも手を動かし続けた。
「…そんな特別より、アンブリッジ先生の様に、両親に囲まれた生活がおくれる普通が例えどんな家庭であろうと一番幸せだと思ってる事は、先生もお判り頂いてない事と、私の事をよく思っていない事は把握しております。…ですが、何かあれば貴女を頼る様に、という様な内容と私の身を案じる内容のお手紙をファッジ大臣から頂きました。…貴女と大臣の意見は違う様ですが、ファッジ大臣は貴女を随分と信頼なさっている様子でしたよ。」
レンがそう言うと、アンブリッジはあからさまに嬉しそうな表情をし、レンはそれから書いているものに視線を落とし、ちらりとハリーを見遣れば、もう大丈夫。そう瞳が言っておりレンは魔法を解いた。