「マンダンガスの魔力がハリーの側から移動したの。弱ったとかそういったものは感じ取れなかった…自分の仕事を放棄したんだわ!」
「残念だが今この場で動ける騎士団員はお前しかいない。直ぐハリーの所へ行き、変わりの団員が来るまで任務に当たってくれ。」
「判ったわ。嫌な予感がするの。シリウスは私が時間を稼いでる間、他の人にも連絡を入れてくれると助かるわ。私に出来る事は少ないと思うし…。」
「判っている。お前も十分に気を付けるんだぞ?」
「えぇ。」
本当は自分が行きたいのだろう…それを必死に隠し、自分に出来る最大限の事をする事で無理矢理納得させたような表情をするシリウスに少しだけ苦笑を浮かべ、レンはプリペット通りに出た。
久し振りに自分の足で歩く感覚は懐かしく感じ新鮮だったが、共に痛みを伴う。
が、今はそれを気にしてはいられない。
ハリーの魔力を追って今できる全速力で道を走っていく。
ハリーの魔力は家の近くにある事は確かなのだが、家には無かった。
となれば、何処にマグルがいるか判らない場所で姿現しを使うのはとても危険で、近くの物影まで姿現しをすれば後は走るしかなかった。
ハリーの魔力はマグノリア・クレセント通りからウィステリア・ウォークの間あたり…
「ハリー!何をして…」
息を切らしながらハリーの所へ辿り着けば、其処にはダドリーに杖を向けるハリーの姿があった。
近くまで来た時「そいつを僕に向けるな!」や「その事は2度と口にするな。」と口論が聞こえていた…
なにか喧嘩でもしていたのだろう。
だが、ここでハリーが魔法を使えば最悪の事態が起こる。
「「レン!」」
2人は同時にレンの名を呼んだが、同時に血の気が引いたような顔色になる。
星を散りばめた群青色の空が突然光を奪われ真っ暗になったのだ。
それだけではない…星が、月が、路地の量は時にある街灯の灯りさえも…車の音も木々の囁きも途絶え、辺りは冷たい空気に包まれる。
この感じは…吸魂鬼だ。
「何をするつもりだ?や、やめろ!」
「僕は何もしていないぞ!黙ってろ。動くな!」
「み、見えない!僕、め、目が見えなくなった!」
「黙ってろって言っただろう!」
「ダドリー落ち着いて。守るから…大丈夫。ハリー、私が引きつけておくからダドリーと一緒に家へ行くのよ。ハリーは此処で魔法を使ってはいけない。…急いで!」
そう言うと、ハリーの返事を待たずに、ダドリーに見られない様にレンはその場で犬の姿になる。