レンはマートラップの触手を取り出せば、それを丁寧に裏ごしし始め、その手順をじっと見つめているリー。
「レンのカバンって色々入ってるんだな。」
「入るように魔法をかけたの。これは、アンブリッジの罰則対策の材料よ。」
「なんてーんだ?」
マートラップって知ってる?と聞くと、前に習ったような気がするな…と古い記憶を探るようなリーにレンは笑ってしまう。
「ドブネズミがイソギンチャクを背負っているような見た目の海獣でイギリスの海岸に住んでいるの。主に甲殻類を食べるけど踏まないように注意して。足を食べられてしまうわ。」
レンがわーっと口を開ければ、リーはレンの口じゃ食えなさそうだな。とおかしそうに笑う。
「その背中の触手はピクルスにして食べるとジンクスや呪いへの抵抗力が増すけど食べ過ぎると紫色の耳毛が出るらしいわよ。それで、その触手をこうして裏ごしして、お酢で伸ばして抽出液の完成。…これに患部を浸すと切り傷とか外傷を癒して肌を綺麗にしてくれる治療薬になるの。」
「色々詳しいんだな。良い先生になりそうだ。」
「これは生活の知恵ね。怪我が多かったから…育ての親みたいな人に教わったのよ。」
リーは何か閃いたのか、フムフムとメモをし始める。
「取り敢えず伸ばす前の物と酢も貰って良いか?」
「えぇ、良いわよ。それじゃ2瓶にしておくわね。」
レンはひとつの瓶にお酢だけを入れ、蓋に”酢”と書き、もうひとつの瓶に裏ごしした触手を入れる。
そして、触手を1回分くらいの量を取り出せば、纏めてリーに渡した。