彼女が不安げに声をかければ「ガマ女が来る」とレンは小さな声を漏らした。
「マグカップを片付けて。ハリー達は透明マントを!」
レンはそう言うと犬に変身する。
「レンも足元に入って」
ハリーがそう言い、念の為3人の足元に身を滑り込ませじっとした。
次の瞬間だった。
ハグリッドの小屋の戸をドンドンと叩く音がし、カーテンの向こう側にずんぐりした背の低い人影が揺らめいている。
扉に飛びかかっているファングをいつもの様に避けながら、ハグリッドはその扉を開いた。
「それでは…貴方がハグリッドなの?」
ハグリッドの向こうからそう声がしたが、返事を待たずに、ファングが飛びついて舐めようとするのをハンドバッグで払い除けながら「お退き」とピシャリと言った。
「あー…失礼だとは思うが…いったいお前さんは誰ですかい?」
「わたくしはドローレス・アンブリッジです」
ハグリッドは嘘をつくのが下手だ。
そんなハグリッドにアンブリッジの話をしていなくて良かった…4人は部屋の隅に隠れながら思った。
「ドローレス・アンブリッジ?確か…魔法省の人だと思ったが…ファッジの所で仕事をしてなさらんか?」
「大臣の上級次官でした。そうですよ」
アンブリッジは部屋の中を歩き回り壁にかけられた雑嚢から脱ぎ捨てられた旅行用マントまで何もかも観察していた。
レンははっきりと判った。アンブリッジは力の強い魔女ではない。
ダンブルドアのようにハリーの透明マントを見透かす事も気配を感じ取る事も出来なかった。
「今は闇の魔術に対する防衛術の教師です」
「そいつぁ豪気なもんだ。いまじゃ、あの職に就く奴ぁあんまりいねえ」
「それに、ホグワーツ高等尋問官です」
アンブリッジはハグリッドの言葉など全く耳に入らなかったと言う様に話を続ける。