間一髪、ダドリーはその場で口を開け、玄関マットいっぱいに吐いた。
「レン、わざわざダドちゃんを運んでくれたのね。有難う。…バーノン?バーノン!」
ペチュニアはレンの姿を見れば人の良さそうな笑顔を向け、レンは社交辞令的に笑みを返す。
ペチュニアの叫びに、バーノンは今からドタバタト出てきて、レンの顔を見て小さく笑み、その場をぐるりと見渡した。
ダドリーが吐いた物を踏まないようにしながら、グラグラしているダドリーを何とか玄関まで上げようとしている。
「バーノン、この子病気だわ。」
ダースリー一家は何があったかとダドリーに聞きながら、キッチンに向かって前進していく間、レンとハリーは慎重にこっそりと階段の方へと向かう。
「坊主誰にやられた?名前を言いなさい!」
バーノンのその問いに、ダドリーはゆっくりと手を持ち上げ、ハリーを指さし「アイツ」と短く答えば、ハリーもレンもそのまま凍りついたかのように固まってしまう。
「小僧!こっちへ来い!!」
レンとハリーは同時に溜息を吐きそちらへと向かう。
ダーズリー一家はまるでレンがその場に居るのが見えていないようで、ハリーを睨みつけている。
「息子に何をした!」
「なんにも。」
ハリーはどうせ信じないんだろうと思っていると、その声色が言っている。
「ダドちゃん、あの子がなにをしたの?あれ、ねぇ、例のあれなの?あの子が使ったの?」
ダドリーがゆっくりと小さく頷けば、ペチュニアは喚き、バーノンは拳を振り上げた。
「待ってください!」「やってない!」
レンとハリーの叫びが同時に部屋に響き渡り、そのままダーズリー一家は固まる。
そう。ダーズリー一家はレンが魔女だという事を知らない。
魔法を使ったかもしれない、それを咎めようとしている現場に知られたくないご近所さんがその場に居るのだ。
「貴女がダドちゃんを連れて来てくれたのは、とても感謝しているわ。けれど今は…」
ペチュニアは言い難そうにそういえば、同時にダドリーがもう一度その場に吐く。
「論より証拠…ですわね。」
レンはそういうと、ポケットから杖を取り出して振るえば、ダドリーが吐いたそれは綺麗さっぱり無くなり、元通りの綺麗な床に戻る。
それに驚き震え言葉を無くしているのはダーズリー一家だ。
「私は旧家クレスメント家の現当主で、外では大人として認められ、魔法を使う事も許されています。」
そう説明すると、さらにダーズリー一家は震えたように見えた。