第52話
その場にいたグリフィンドール寮生が揃いも揃ってアンブリッジに悪態をつき、そしてゾロゾロと後から人がついてくるのが判るがレンは足を止めなかった。
「レン、レン!ちょっと待って!」
ハーマイオニーがその手を掴み止めれば、怒りを必死に堪えているレンの姿があった。
「マクゴナガル先生に、ダンブルドア先生に報告しましょう。」
「あの女はそんな事で意見を翻さない。魔法省大臣の存在を盾に取られたらダンブルドア先生だってこれ以上立場を悪くするのは良い事だとは言えないし、マクゴナガル先生だって辞任に追い込まれるかもしれないわ。私はそんなの絶対に嫌!大丈夫よ、先生は続けるし、バレそうとか行けなさそうならジョージに伝えるから。」
レンは向直ればそのまま寮へ直行し寝室で荷物を纏める。
沸々と沸き上がる怒りが熱となって全身に広がり、頭に心臓が付いているのではないだろうかと思うほど激しく鼓動を感じる。…が、それと同時に怒りの熱がどんどんと体を冷やしていき、心が凍っていく様だった。
レンがトランクを持って談話室へと降りていくとハーマイオニーの姿はもうなかったが代わりにハリーや双子、リーが談話室の出入り口を塞ぎレンが外に行かない様にしておりレンは苦笑をしてしまう。
「それじゃ私が好き好んでスリザリンに行くみたいじゃない。」
「違うのは判ってるけど、もうちょっと待ってくれ。今マクゴナガルを呼んでる。」
「俺達が邪魔をして出れなかった。そう言えば良いだろう?」
「嫌よ。死んだってそんな風に言わないわ。」
此処、好きだったんだけどなぁ…とレンは苦笑を漏らし、皆が「アイツは間違ってる!」とレンの味方をしてくれてレンは思わず泣きそうになってしまっては、泣いてなるものかと強く思う。
自分よりも双子やハリーの方が辛い筈だ。この程度の事、彼らの辛い気持ちに比べればなんて事はない。
「私は大丈夫。慣れるまでは大変かもしれないけれど、何処でだってマイペースにやっていける自信があるから、心配しないで。皆がそう味方してくれるだけで、とても嬉しいわ。…でも、それで貴方達が傷付けられてしまう事は、私は望まない。」
「ミス・クレスメント…話は聞きました。私と一緒に行きましょう。」
談話室への扉が開けばマクゴナガルが姿を現し、大広間での一件を見ていた生徒達が一斉にその事をマクゴナガルに伝え、マクゴナガルはそれに小さく頷いてからレンにそう声をかけると、レンは荷物を引きながら「バイバイ」と皆に笑って手を振りその場を去った。