「私が軽装だったから、寒くないのかと聞かれただけよ。余計な心配しなくて良いって言ったの。それは貴方もよ、ドラコ。」
レンは3人から離れたドラコ達の所に立ち、ハグリッドを待った。
現れたハグリッドはまだ怪我が癒えていないところがあり、所々血が流れていた。
おかしい…あんなところ怪我はしてなかった気がする…。
レンはそう思いながらも何も言えなかった。
そう、あの高等尋問官殿の視察があり彼女が此処に来ているのだ。
「今日はあそこで授業だ。少しは寒さしのぎになるぞ!どっちにみちあいつら、暗い所が好きなんだ」
ハグリッドは背後の暗い木立を振り返りながら嬉々として呼びかけた。
「なにが暗い所が好きだって?彼奴何が暗い所が好きだって言った?聞こえたか?」
あからさまにドラコが険しい声で言い、怯えているのが判る。
そういえば1年の時、ドラコは真っ先に自分1人だけ逃げたっけ。
レンは1年の罰則の時を思い出せば小さく笑ってしまい、視線を感じれば同じようにハリーもニヤリと笑っていた。
「森の散策は5年生になってからと決めちょった。」
ハグリッドはそう言い話を進めようとするがドラコがハグリッドの言葉にいちいち噛みつき、その傷は授業を行う生物にやられたんじゃないかという不安感を露わにしていたが、ハグリッドはそんな言葉を切り捨てどんどんと森へと入っていく。
レンはスリザリン生の先頭を無言で歩いて行き、近くには先頭を歩こうと追いついて来たハリー、ハーマイオニー、ロンの姿もあった。
他の生徒は木から木に姿を隠し、今にも襲われるかの様に神経を尖らせて周りを見渡しながらついて来ている。
「集まれ、集まれ!」
ハグリッドが励ます様に言った。
「さぁ、あいつらは血の匂いに引かれてやってくるぞ。だが、俺の方からも呼んでみる。」
ハグリッドは後ろを向き、もじゃもじゃ頭を振って髪を顔から後ろに払い退け、甲高い奇妙な叫びをあげた。
その叫びは怪鳥が呼び交わす声のように暗い木々の間に木霊する。
殆どの生徒は恐ろしくて声も出ない様だった。
ハグリッドがもう一度高く叫んだ。
1分経つその間、生徒全員が神経を尖らせ肩越しに背後を伺ったり木々の間を透かしたり見て、近付いてくる何かをその瞳に捉えようと必死な様子だった。