第55話
瞳を開くと其処にはシリウスの姿があった。
だが微妙に失敗しているのは、シリウスがベッドに入り半身を起こしては何かをしていた彼の脚と脚の間に降り立ってしまったのだ。
シリウスの所と強く願ったからかもしれない。
だが直ぐに足元がふわふわした柔らかい感覚にバランスを失い転びかけると、シリウスは思わず抱きとめ支えてくれた。
「ちょっと…位置がずれたわね。ごめんなさい。」
「こんな夜更けにどうした?何があった。その制服は…」
「それは後。シリウス、アーサーおじ様がヴォルデモートの蛇に襲われたわ。間も無く妻子とハリーが此処に留まるとの伝言よ。」
「厨房に降りていこう。」
シリウスはレンの背に手を当てながら厨房へ降り、レンは其処に座ると、アーサーに意識を集中させる。
その直後カタカタと家が揺れる様な音がすれば、クリーチャーが何かを言ったのだろう、シリウスの大きな「出て行け!」という叫び声が聞こえた。
「どうしたんだ?アーサーが襲われたとレンが言っていたが…」
シリウスのそんな声が聞こえる。
双子もそれを知りたいとハリーを見たが、ハリーは「レンは?」と話を逸らす。
「あっちで術をかけ直している…行こう。」
厨房に人が何人か入ってくる音がすると、全員入ったのだろう、扉を閉める音がする。
「シリウス、邪魔避け魔法をお願い。クリーチャーの意識が此方に向いているわ…私は手が離せないから。」
合わせた手を光らせ瞳を閉じながら言えば、シリウスは頷き魔法をかけてくれる。
「レン、何があったか説明を頼んでも良いかい?僕…なんて言ったらいいか…」
レンはそのまま小さく頷く。
「ごめんなさいね。少しこっちに集中しながら…だから……簡潔的に、になってしまうけれど…。」
「構わない」
「アーサーおじ様が…ナギニに襲われたの。」
「ナギニって?」
「ヴォルデモートの大蛇…毒ヘビよ。私は…騎士団員の魔力の揺らぎを監視し続けていたから、直ぐに気付いて、術を施したわ…揺らいでからじゃないと気付けなかったから…怪我をさせてしまった…ごめんなさい。ハリーは…予知夢の様なものを見たんだと思うわ。」
そう言うと皆の視線を感じる。
非難しているのかもしれない…レンはそう思うと胸がちくりと痛んだ。