第56話
「…ヴォルデモートがつけたの。私の中に彼奴の血が流れているって常に意識させる為に。ヴォルデモートの存在を感じられる様に…声が聞こえて冷たく囁き続けるの。心が弱れば弱るほど。…この魔法がお腹と足にもあったわ。2つは傷口にかけられた魔法だったからフォークスが癒してくれたけど、それまではずっと…とてつもない怒りや孤独に支配されて自分が自分で無くなってしまう様で、怖くて眠れなかったわ。ハリー…これは私の体験を考えての意見でしかないのだけれど…ヴォルデモートは貴方の血を取り込み復活した。もしかしたら私と同じように、そんな風に彼奴を近くに…彼奴を感じ取れるようになっているのかも…なんて思うの。…でも私がはっきりといえる事は、おじ様を襲ったのはハリーじゃない。ハリーの魔力は感じなかったわ。」
そう言うとハリーは暫く黙ってしまっていた。
この印がある事に憤怒しているのだろうか?それともショックだったのだろうか…?
レンはそう思い眉を下げ、その印を隠す様に包帯を蒔き直せば、ハリーはそれを見ながら、ゆっくりと口を開いた。
「うん。レンにそう言われて…どこかしっくりときた。僕と同じだったから。レンはずっと1人で戦ってたんだね、こんな思いと…あれからずっと。」
「腕だけになってからはそんな頻繁じゃないけれどね。…私が死喰い人になってないって信じてくれるの?」
「疑う訳ないだろ。…確かに一度レンを疑って罵倒しちゃったけど…あんな事はもう絶対、死んだって起こり得ない。だってもし寝返ったとしても、レンが何かの為に自分を犠牲にして死喰い人になったって…僕は判るから。」
「そう…有難う。見せたら嫌われるんじゃないかって、怖くて…話せなかったの。ハリーが気持ちを相談してくれたから…便乗しちゃったわ。」
悪戯っぽくいうレンにハリーは思わず笑ってしまっていた。
「ねぇ、一緒にいてくれる?」
「えぇ。」
少しすると不安が軽くなり、うとうとしだしたハリーに、レンはそこにマットレスを魔法で出せば、ハリーはそのまま身を埋め、次第に寝息をたて始める。
レンは毛布をかけてあげれば、そのまま片手を握り、自分もまたソファに身を埋め瞼を閉じた。
クレスメントの血の力でもなんでも良い…ハリーが安心して眠れますように…。
そう祈りながらまた意識が遠退いていった。