「えぇ。薬をいただきましたし…お陰で人の手を借りずに歩けるまでになりました。」
「姫君、あの“犬”は、今日はいないので?」
「犬?…あぁ黒い犬の事?あの子はホグワーツに行っている間にいなくなってしまったわ。言ったでしょう?怪我して迷い込んだ犬を治療しただけだって。森の中を探せばいるかもしれないけれど…流石にこの森の中はね…そんなに酔狂じゃないわ。今は自分の事で精一杯だし、自分の縄張りを持って其処で暮らしているならそれが1番よ。」
ルシウスはそんなレンの言葉を疑わしげに家の中を何かを探すようにゆっくりと見回しているがレンはあまり気にもしなかった。
「アンブリッジ先生がいらっしゃるのなら、これをお渡しした方が良いですね。」
レンはカバンの中から診断書を取り出せはそれをアンブリッジに渡した。
「名付け親に頼んで昨日病院へ連れて行ってもらったので…」
「診断書とは実に準備がよろしいようですな、姫君。」
「病院へ行く前にまた血を吐いてしまって心も体も弱ったまま、病院に行く時間になってしまったの。それで診療中、癒者が腕の傷を診ようとしてくれた時に限界が来てしまって…癒者がそれを良くないと眠らされてしまったの。ルシウス、貴方にはその時の私がどうだったか判るはずでしょう?」
腕の包帯を巻かれている部分をそっと撫でれば、弱っている所にヴォルデモートの声が響き続けたとその現象を想像し「そうでしたか」と頷いてみせる。
「私はしっかりと癒者の話を聞いた訳ではないから、先生にご報告させていただく際、ちゃんと説明出来ないと思って…名付け親が気を利かせてくれたみたいね。目を覚ました時にこれを先生に渡しなさいって。」
「そうでしたの。これを読む限り酷い状態でしたのね…」
「私は読んでいないので実際なんて書いてあるのかは判りません。名付け親もしっかり療養していれば平気だとしか教えてくれませんでしたし、封を開けて何か細工をしたと思われても心外ですので。」
「ミス・クレスメント、私達は決して貴女を疑ったりしている訳ではありませんぞ?」
「…ファッジ大臣、貴方はそうであると信じたいとは思っていますが…」
眉を下げて口元で小さく笑みそう言うレンを心配そうにドラコはその背を撫でてくれ、レンは小さくそれに礼を言う。
「学校での彼女はどんな様子なのかね?」
ファッジはそう言うとルシウスはドラコに「教えて差し上げなさい。」と命令する様に言い、ドラコはファッジ大臣に向き直れば口を開いた。