第59話
クリスマス休暇が終わりかけてきた頃、またレンの心は萎んでいった。
只今絶賛戻りたくない病が発症中である。
「シリウス。退学したらダメ?」
「ダメだ。」
「退学させられたらそれはそれでいい、みたいな事言っていたじゃない。」
「誇り、戦い、その結果退学させられるのと、自主退学では話が違うだろう。」
「スリザリン…嫌なのよ…地下室みたいな談話室…暖炉はあるけどちっとも暖かくないの。グリフィンドールの赤いカーテンが良い。暖炉の前のふかふかの肘掛け椅子が好きなの。ジョージとフレッドもいてハリーもロンもハーマイオニーもジニーも居る彼処が良いわ。」
厨房のテーブルに顎を乗せて駄々をこねているレンに、困り果てるシリウス。
実際は退学して側にいる事は自分にとっては嬉しい事だが、レンのことを思えば反対しざるを得ない。
「それに、戻ってきたっぽいクリーチャーの様子もおかしいわ。」
「彼奴はいつもおかしい。」
「ケチ。」
その言葉に、今厨房に来たモリーが思わず笑ってしまい、シリウスはモリーを睨む様に見れば大きく溜息を吐いた。
ごつんと音を立てて今度は机に顔を埋めればレンもシリウスと同じくらい大きな溜息を吐く。
「いっそのことホグワーツで大暴れしてやるしかないわ。もう、盛大に、ばーんと。」
「我輩は止めはせんがね、山程多くの罰則は用意させて頂こう。お望み通りの退学は罰則にはならぬ様なのでな。」
「盗み聞きとは良いご趣味ですね、スネイプ先生。」
「その様なでかい声で話していれば何処でも聞こえる。」
「何しに来た。」
シリウスは一際不機嫌そうにスネイプにそう言えばスネイプは片眉を上げ嫌味っぽく口元を上げる。
「ダンブルドアの言いつけでなければ好き好んで来たりはせん。…クレスメント。ポッターは何処に居る?」
「上の…何処かの部屋に居ると思いますけど…私、誰が何処の部屋かは知りません。殆ど自分の家に居るもの。」
私が呼んできましょう、とモリーはいそいそと厨房から姿を消し、扉の向かい側に座っていたせいで、目の前に座られたスネイプを眺めるしかなかった。