レンは荷物をリビングに置き、本部に向かうとモリーに朝食を勧められたが、食欲がないと断った。
リーマスはトンクスと何か話している様子だったし、邪魔しても…と思い少し離れたところに座ればテーブルに顔を埋めた。
あぁ…胃袋全て石を詰め込まれた様に胃や体が重い。
「本当にスリザリンになったんだね、大丈夫かい?今朝の薬は?」
「まだ飲んでないしスリザリンは夢よ、夢。」
「レンならどこでも頑張れちゃうさ!元気出していこうよ。」
「頑張ってきたら、トンクスの変身術、私にも教えてくれる?」
「うん、約束する!」
それにレンは渋々顔を上げるとトンクスは微笑みかけてくれた。
レンはリーマスに言われるがまま薬を飲みに行けば、女の子達と厨房に戻った。
慌ただしい朝食が始まりレンは何と無くそこに入ることができずに玄関の階段に腰掛けていた。
「レン。」
そう呼ばれて顔を上げればそこにはシリウスがいた。
レンが首を傾げれば、おいでと軽く手を広げられ、レンは素直にそこに飛び込みきつく抱きしめた。
シリウスの鼓動と香りが自分を元気付けてくれる様だとレンは胸に顔を埋める。
「図書室に隠れ家があるのは知っているか?」
「うん。」
「アクアが処分していなければ、そこには懐中時計があるはずだ。」
「時計?あったかしら…」
「引き出しか物陰か…どこかにこれと同じものがあるはずだ。」
そう言いシリウスは片手を自分のポケットに突っ込めばひとつの時計を取り出してみせた。
シルバーの蓋つきの懐中時計で、蓋には綺麗な模様が彫り込まれている。
「見つけられたらその時、それがなんなのか、話をしよう。古い物だからちゃんと動くかどうかはわからないが…」
「わかったわ。…シリウス、耐えきれなくなったら帰ってきてもいい?」
「あぁ。極力頑張ってそれでも無理なら戻ってきなさい。」
レンはそれに心が少し軽くなれば「うん」と返事をし、暫くそのまま抱きついて離れなかった。
「シリウスに小さくする魔法でもかけて連れて行ってしまいたいわ。」
「お前のポケットの中からスリザリンを一人一人呪っていけば良いか?」
「親玉のアンブリッジは2人で最高の呪いをかけましょうよ。」
「あぁ、最高に気持ちが悪いガマガエルに変えては、スネイプの部屋にでも投げ入れてやろう。」
「ナイスアイディアだわ。大鍋の熱すぎるお風呂行きね。」
すりすりとシリウスに甘える様に頬をすり寄せながらそう言うと、シリウスもポンポンとその頭を片手で撫でては元気づける様にのってくれている。離れたくない。ずっとこうしていたい。そんな思いばかりが心の中を埋め尽くしていた。