第61話
少しすればリーマスが厨房から姿を現し「挨拶してきなさい。」とシリウスに身を離され背を押されてしまえば、レンはリーマスの所へと行った。
「シリウスが我慢しきれなくなったら帰ってきていいって。」
レンは同じ様にリーマスに抱きつきながらそう言えば、リーマスは苦笑を浮かべる。
「だが、それは最終手段だよ。判っているね?」
「判っているわよ…いつもはリーマスの方が優しいのに、今日は反対なのね。」
「レンを想うからこそ、だよ。どちらかは厳しくしておかないと。私はナイトバスでハリーを学校まで連れていかなければ行けないから見送れないが、しっかり頑張ってきなさい。」
「…スネイプが来なければ私もリーマスと学校まで行けたのに。」
唇を尖らせていうレンに「ヤキモチかい?」とリーマスが揶揄えば「そうよ」と更に拗ねた様子を見せるとリーマスは小さく笑った。
「それじゃ、今年は駅にレンを迎えに行くから、そのまま姿くらましをしないで帰ってきてくれるかい?」
レンはそれに大きく頷いて機嫌が直った様に口元を緩ませてしまう。
実際誰かが迎えにきてくれた事なんてリーマスと初めて会った時以来の事で、我ながらなんて単純なんだろうと思ってしまったが嬉しいものは仕方がない。
「私、帰ったらリーマスが作ったお菓子が食べたいわ。」
「あぁ、作っておくよ。」
レンはリーマスに甘える様に言えば、にっこりと笑って受け入れてくれたリーマスに思わずそれに胸に顔を埋めては、楽しみにしていると伝えると、トンクスがそろそろ時間だとリーマスを呼んだ。
「いってらっしゃい、レン。頑張ってくるんだよ?」
「リーマスも、気を付けていってらっしゃい。」
「あぁ、行ってきます。」
お互いに互いの頬に口付けし合えば、身を離しリーマスは顔つきを変え任務に向かう。
子供達も皆と別れを済ませればレンの側ににやってきては「また後で。」と笑んで玄関を出て行った。
シリウスの手を取りそれを見送れば、シリウスは気落ちしているかの様に元気がなかった。
「きっと来年の今頃は、シリウスに送り出してもらえるわね。その時は私もグリフィンドールに戻っていて、シリウスやハリーと一緒にホグワーツの門まで行くの。今から楽しみにしているわ。」
シリウスの腕に身を寄せ、レンがポツリとそう言うと、シリウスは「そうだな。」と短く返事してくれただけだった。