「余計な事を考えなくてよろしい。気にもしておらん。」
「スネイプ先生は素直じゃないですね。不機嫌そうな表情をなさっていましたけど。」
「クレスメント、罰則として閉心術を調べレポートにまとめろ。」
「私知っています、そういうの職権乱用っていうんです!」
「ならばその辞書に口は災いの元。という言葉を書き込んでおけ。」
すたすたと歩いて行くスネイプが言い残した言葉にレンは顔色を青くし慌てて追いかけた。

寮の前まで連れて来られれば合言葉を教わり、レンはスネイプにお礼を言ってから大きく息を吐き寮の中へと足を進める。
入ってきたレンの姿に皆鋭い視線を向ければ、すぐにニヤニヤしながらひそひそ話をし始め、レンは気にしない様にしながらトランクを寮に置き、開けられぬ様鍵をかけてから談話室を出て図書室に向かった。
レンはいつもの本棚の向こう側にくるとシリウスが見せてくれた時計を思い出しながら辺りを探し始める。
試しに「アクシオ!懐中時計!」と唱えてみるも自分の懐中時計が少し動いただけだった。
数時間探しただろうか…完全に諦めシリウスとリーマスと母の若き頃の写真を眺め溜息を吐くと、写真の中の母がウィンクをしてレンに背を向けた。
今まで見たことのなかったその行動に、レンはその写真の裏を見ると小さな窪みに懐中時計とメモが隠されていた。
『遠い未来の我が子へ。
これに気付いたという事はパパとママに会えずにホームシックになったのかしら?私はちゃんとあのバカと結婚できてるのかしら?貴方の目に映るパパとママはどんな感じなのかしら?そんな遠い未来を夢見て、ホグワーツ生活最後の日を此処で過ごしペンを走らせています。
もしパパが私の想像している人であるなら、この懐中時計が使えるはずよ。
これは、マグルでいうレコーダーというものに近いもの。若い頃のパパとママは喧嘩が多くて、お互い意地っ張りだったから仲直りするのにも時間がかかったの。それに呆れ返った親友達が力を合わせて作ってくれたのよ。
これには特殊な魔法がかけられていて音声や映像を短時間だけ記録させてもうひとつの懐中時計に送る。同時に開いていれば合わせ鏡の様に少しの間話しが出来るわ。そのやり方を記しておきます。』
そう書かれた文字はあの日記の文字と同じで、レンはどこか胸が温かくなった。
レンはその懐中時計を自分の懐中時計と背中合わせになる様にして繋げば早速メモ通りに試してみた。
まずは天辺のボタンを長押ししながら蓋を開ける…すると開いた懐中時計は文字盤が消え鏡の様になっていた。
そして側面のボタンを押しながら言葉を話す…。
「えっと…これで使えるのか判らないけれど、見つけたので早速使ってみます。母の書置きを見ました。…取り敢えず今はそれだけ。また連絡します。」
レンはそう言うと手を離して暫く待つが、その白い画面には何も映し出されはせず、何か他に方法があるのか?とレンはボタンをいくつか押してみれば若い頃のシリウスの姿がそこに映し出された。
「あー…その、なんだ。悪かった…別に嫌で言った訳じゃないんだ。あー…卒業して落ち着いたら一緒に暮らそう、アクア。それでお前は満足だろう?仕方ない面倒見てやるさ。一緒に暮らせるまでにシャルに頼りっきりだったその料理の腕を少しは磨いておけよ?」
どこか照れくさそうに頬を赤らめて言うシリウスにドキリとしつつも、これは母が残しておきたかったのか、それとも最後に記録したのが此れなのか判らなかったが、そっとレンは蓋を閉じ懐中時計をしまえば図書室を後にした。