第63話
次の日朝食をとっていると、ドラコは自慢げに「集結した。」とレンに伝える。
何の事?と首を傾げれば、日刊預言者新聞をレンに手渡す。
かつての死喰い人がアズカバンを集団脱獄…そうか彼らが戻ったのか…。
魔法省は10人の脱獄者の中にいとこのベラトリックス・レストレンジがいる事と過去に脱獄した事のある者がシリウスだけという事で、シリウスがこの脱獄に関与していると考えている様だった。
「お喜びでしょうね、"あの人"は。忠実な"家族"が戻られて。」
レンは冷たくそう言い放つと席を後にした。
このニュースを喜んでいるのはスリザリンの生徒だけだった。
他の生徒達にはこのニュースがじわじわと浸透していき、10人の内1人でも手にかかった親戚がいる者は他の生徒から視線が向けられげんなりしている様だった。
変わったのは生徒達の雰囲気だけではなく先生もだった。
廊下で2人、3人と集まり低い声で切羽詰まった様に囁き合い、生徒が近付くのに気付くと、ふっつりと話を止めるという事も見慣れた光景になっていた。
アンブリッジの所為で自由に職員室で話す事も出来ないのだろう。
ある日、廊下で納得がいかなそうなリーとすれ違えば「眉間にシワが寄ってるわよ、お兄ちゃん」と小さいが明るい声で声をかける。
リーはその声に少し癒された様に表情を和らげてくれた。
「知ってるか?あの法令。」
「ガマ女が新しく出したやつ?」
「そう。給与の支払いを受けている科目に関係する事以外は生徒に対し一切の情報を与えるべからずってやつさ。それで言ってやったんだ、爆発スナップは闇の魔術に対する防衛術とは何も関係がないから貴女に関係する情報ではない、とね。」
そういえばそんな新しい法令が出ていたっけ。と思うも、リーのその行動にレンは苦笑するしかなかった。
「勇気は素晴らしいけれど、あの女は自分の思い通りに動かしたいのだから、そんな矛盾簡単に押し退けるわよ。」
レンはその痛々しい手を取れば両手で包み、その力で癒してやる。
「また随分こっ酷くやられたのね…いつも癒してあげられる訳じゃないから程々にしてちょうだいね。」
レンが癒し終えればリーは嬉しそうにお礼を言い、レンは直ぐに手を離すとウインクひとつしてスリザリン生徒がクスクス笑いしている中を通り過ぎて行った。