第70話
「クレスメント、一体どうしたと言うのです?」
「大きなガマガエルに引き摺られました。」
教室に入った時、その汚れ様に驚いたマクゴナガルがレンに訊ね、レンの言葉に生徒達は笑い声をあげたがマクゴナガルは都合よく聞こえなくなった様で、杖を振るって制服を綺麗にしてくれた。
「有難うございます、マクゴナガル先生。」
にまっと笑めば、マクゴナガルの口元も僅かに緩み授業が始まる。
授業中、花火のドラゴンが教室に迷い込み炎を吐き続けたが、あの厳しいマクゴナガルが生徒に校長先生にお知らせしなさいと指示しただけで何も気にする事もなく授業を続けた事がレンは嬉しかった。
結局の所アンブリッジは校長としての最初の日の午後を、学校中を飛び回って過ごした。
マクゴナガルの対応の様に他の先生方も校長なしでは、なぜか自分の教室から花火を追い払えないと校長を呼び出したからだ。
最後の就業ベルが鳴り、皆が鞄を持ってグリフィンドール寮に戻る途中、フリットウィック先生の教室からアンブリッジがヨレヨレになって出てくる姿を見た。
髪振り乱し、煤だらけで汗ばんだ顔のアンブリッジを見て、レンはハリーと視線を合わせるとこっそりとニヤリと笑い合う。
「先生、どうも有難う!線香花火は勿論私でも退治出来たのですが、なにしろ、そんな権限があるかどうかはっきり判らなかったので」
フリットウィック先生はにっこり笑って、噛みつきそうな顔のアンブリッジの鼻先で教室のドアを閉めた。
流石、悪戯好きの生徒が大勢いる中で長年教師を務めている先生なだけあるな。とレンは内心思う。

その日、グリフィンドールの談話室ではフレッドとジョージは英雄だった。
あのハーマイオニーですら興奮した生徒達を掻き分け二人におめでとうと言った。
「素晴らしい花火だったわ。」
「ありがとよ。」
ジョージは驚いた様な嬉しい様な顔をしながら言葉を続ける。
「ウィーズリーの暴れバンバン花火さ。問題はありったけの在庫を使っちまったから、販売用はまた0から作り直しなのさ。」
「それだけの価値ありだったよ。順番待ちリストに名前を書くなら、ハーマイオニー、基本火遊びセットが5ガリオン、デラックス大爆発が20ガリオン…」
フレッドが大騒ぎのグリフィンドール生から注文を取りながら言えば、ハーマイオニーはさっさとハリーとロンのいるテーブルへ戻っていく。